2025.05.21
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第1回道産詩賞を受賞!附属図書館職員の中筋さんにインタビュー!!
こんにちは。小樽商科大学の広報担当です。
本日は、第1回道産詩(どうさんし)賞を受賞された、
本学附属図書館の職員 中筋 智絵さんを紹介します🎉

「道産詩賞」とは、東京と日高管内新冠町を拠点に活動する詩人御徒町凧さんがプロデューサーを務める「Hi―MAG(ハイマグ)」の1周年を記念して創設されたものです。北海道を題材に地域性を感じさせる詩が対象となり、第1回目は124編の応募作から中筋さんの「札幌 払暁(ふつぎょう)」が選ばれました。
中筋さんの道産詩賞の受賞については、北海道新聞にも取り上げられています!
(※掲載期間が限られていることから、リンク切れとなる場合がございますことをご了承ください。)
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1.まずは、自己紹介をお願いします。
学術情報課(附属図書館)図書係の中筋知恵と申します。図書館職員として採用していただいて20年、ずっと図書館一本でやってきました。図書館業務は学生さんたちとも先生方とも顔の見える交流の機会が多く、学生さんの調べ物のお手伝いをしてお役に立てた時などはとても嬉しくやりがいを感じますね。
2.詩を書くことを始めたきっかけや今回応募に至った経緯を教えてください!
詩は小学生のころからずっと好きでした。音楽と絵画を合わせ持ったような美しさを、言葉だけで描けるということに詩の魅力がある。そんなこと子供の頃は少しも気づいていなかったのですが、きっと詩の韻律の美しさと呼応する感性のようなものがずっと私のなかにあったのだと思います。本格的に詩を書き始めたのは小樽商大に就職し、小樽詩話会という詩人サークルで同人誌に詩を発表しはじめてからです。毎月発行される同人誌に欠かさず送るのはなかなか大変で、仕事を終えると、人付き合いも家事もそっちのけで詩のことばかり考えていましたね(笑)
3.道産詩賞を受賞した詩のインスピレーションは何でしたか?
受賞した「札幌 払暁」は、通勤途中にみた何気ない朝焼け空を、絵を描くような気持ちで文字にしてみたものです。12月半ばの、しいんと凍てついた空。道路の果てに茜色の地平線が見えて、まだ明け初めない空は深い藍色でした。この光景にどうしたら独自の色を塗れるだろう、と考えながら、何度もその光景を思い返し、「果汁」「朝という棒状のいきもの」といった言葉を生み出しました。それらの表現は、「私」という媒体を通して現れたものであり、他の誰かが同じ光景を歌っても決して同じニュアンスは出せないと思います。人間ひとりの肉体を通り抜け、心象として生まれ出る詩。それはAIなど心身を持たない者には決して作り出せない一つの世界なのだと思います。どんなに人工知能が発達しても詩人は絶対にAIなどに兜を脱ぐことはない、そう確信しています。
4.今後の詩作活動についての計画や目標はありますか?
ここ数年は小説執筆に専念していて現代詩のことをほとんど知らないので、まずは時代の先端をいく詩を沢山読んで、評価されている現代詩のまとう魅力や空気感を体に叩き込もうと思っています。同時に自分がいま強烈に表現したいものを弛みなく書き続けること、それしかないです。今すごく書きたいのは、亡き両親との日々、時を経てもなお自分の中に鮮やかに蠢いている少女時代の風物などです。これらは私の存在の証とも言うべき原風景であり、私以外の誰にも書けないものです。そして詩は私のなかにある数々のシーンを絵のような鮮やかさで取り出すための最強のツールなのです。今こそ私は、五感をフル稼働させて自分の心身に刻み込まれた風景を抉り出し、印象的な詩へと再構築したい、奮い立つようにそう思っています。渾身の思いで生み出した詩は、きっと読者の心をも揺さぶり、共鳴してもらえる…そう信じています。
そして近いうちに詩集の刊行も予定しています。自分を余すことなく表現し、なおかつ私にしか出来ない新たな手法で詩集を編んでいきたい…今はそのことで頭がいっぱいです。
5.商大生におすすめの詩人や詩集を教えてください。
・八木重吉詩集
優しい言葉で、世界の美しさや悲しさを鮮やかに切り取ってみせる彼の詩は、読むたびに詩の原点に立ち戻らせてくれます。夭折した詩人の、死を見つめるがゆえに澄みきった視線。どの詩にも生への渇望と執着が感じられ、それなのにふわりと温かい。そんな彼の詩をぜひ味わってみてください。図書館の新着コーナーにあります。また、オンラインだと青空文庫で詩集2冊が公開されています。https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person13.html
特におすすめの詩は、詩集「貧しき信徒」のなかにある、
「素朴な琴」「果物」「母をおもう」です!
・文月悠光詩集「私たちの猫」
文月悠光さんは札幌で育った若き詩人で、2005年に高校生で詩人の登竜門である中原中也賞を受賞し話題を呼びました。親しみやすい言葉でありながら、学校生活や日常生活など身近な事象を斬新な視点で切り取る、その手法の鮮やかさには舌を巻きます。現代詩は難解なだけでなく、こんなに面白いんだよ、と商大生の皆さんにも知ってほしいです。彼女の第3詩集「わたしたちの猫」が図書館3階にありますので、ぜひ手にとってみてください。私的におすすめの詩は
「片袖の魚」「レモンの涙」です!
5.商大生にメッセージをお願いします。
詩にハマりはじめると、何気ない光景がとたんに生き生きと精彩を帯びて見えてきます。いつも見ている建物だったり、毎日使うコップだったり、あるいは毎日会ってる友達だって、視点を変えて見てみるとまるで違った姿を現してくれるかもしれません。世界はけっして一つだけじゃない、今見えている世界の裏側にはもっと魅力的な異世界が潜んでいるんだ…そう思うことで、皆さんの心はぐんと広がり豊かになるはずです。どうか皆さんも日々新たな目で周囲を見回し、あるいは自分の内面を深く見つめて、あなた独自の言葉で表現してみてください。そして面白いフレーズが浮かんだら、ぜひ私にもシェアしてくださいね。お待ちしています!
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