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研究者インタビュー 近藤公彦教授

マーケティングは、どうやったら商品が売れるのか、どうしてある商品が売れていくのか、ということを研究する学問です。

近藤公彦教授

近藤公彦 教授
KONDO kimihiko
商学部 商学科 商学研究科 アントレプレナーシップ専攻


世の中の移り変わり、技術の進歩と共に、売り方も買い方も変わっていきます。

マーケティングは、理論だけでなく実践と密接に結びつかないと成り立たない分野です。理論と実践の両方に軸足を置いているのがマーケティングの面白さだと思います。

世の中の移り変わり、技術の進歩と共に、売り方も買い方も変わっていきます。今私の研究対象になっているのは「オムニチャネル」と言われるものです。「オムニ」は「すべて、ALL」というような意味があります。
インターネットでの販売が当たり前になってきた今、リアルな店舗だけではなく、かといってオンライン通販だけでなく、すべてのチャネルで購買行動が起こる、というのがオムニチャネルです。

 例えば、リアルな店舗だけで販売していたら、これからどんどんネット販売にシフトする消費者をつかまえきれません。リアルな店舗は英語で「Brick and Mortar(レンガとモルタル)」と言われますが、リアル店舗もありネット店舗もあり、という意味で最近ではこれをもじって「Click and Mortar(クリックとモルタル)」と言われるようになりました。リアル+ネット、リアル店舗もあるけど、画面を「ポチッ」としても買える、ということですね。

 

「店」の概念も、商品販売の場からコミュニケーションの場へ

 

消費者の立場で考えてみれば、何か物を買いたいと思ったとき、まずネットで調べるのは当たり前になっています。店員さんとだけ話して決める、という人はどんどん少なくなっています。ネットで調べ、そこからすぐに購入につながるように、店舗はどんどんネット販売のチャネルを持ち始めました。

ですが、そうなるとお客さんはどんどんネット店に流れ、リアル店舗にはどんどん人が来なくなる、という状況もおきてきます。そのときに、リアル店舗の持つ意味も変わっていきます。これまで店舗はそこで売買が完結する場でしたが、これからは必ずしも店で買わなくてもいい、というようなことになります。つまり、店では店員さんの話を聞き商品を実際に見て、買うのはネットで、ということでもいいのです。そういう行動を取る消費者を「オムニチャネルショッパー」と呼んでいます。

「店」の概念も、商品販売の場からコミュニケ=ションの場へ、というように変わっていかざるを得ません。リアル店舗のショールーム化、ですね。

 

ネット通販の店がリアルな店舗を持つといった、垣根を超えた動きが最近の潮流です。

また、これまではネット通販しかなくリアルな店舗を持たない小売業が主流でしたが、最近は、ネット通販の店がリアルな店舗を持つ動きも出てきています。リアル店舗で情報を発信して顧客を獲得し、またネットに戻したり、リアル店舗を商品の受け取り場所にするということですね。世界的なネット販売大手のAmazonがアメリカの高級食品スーパーWhole Foodsを買収したのもその一例です。

そのAmazonがAIを利用した端末、Alexaという音声認識端末、スピーカーを出していることは示唆的です。これからはこれがモバイルとなり、いつでもどこでも注文できる、というようになるでしょう。一つの核になるような気がします。

 

リアルとネットの世界を結びつける顧客情報の共有が事業発展の分かれ目になります。

また、オムニチャネルでは、顧客情報を統合することが重要です。つまり、ネット店でもリアル店舗でも、Aさんというお客さんがいたら、その人の情報が共有されなくてはいけません。「顧客識別」といいますが、それが両方の世界でできていることが重要です。たとえば、リアル店舗で獲得したポイントがネットで使える、その逆もあり、ということです。

顧客の情報をきちんとトラックするには、売る側、企業側もオムニチャネル化しなくてはなりません。事業部毎に「サイロ型」、いわゆる「縦割り」になっていてはだめです。デジタル化による情報共有により、企業も顧客中心の組織に変わらなくてはなりません。日本では、「良品計画(無印良品)」や「ヨドバシカメラ」がリアルとネットの世界をうまく結びつけている例かと思います。

研究者や、企業の人たちなどで「オムニチャネル研究会」を立ち上げ、私がリーダーを努めています。毎月一回東京で勉強会を開き、実際にオムニチャネルを実践している担当者などとも情報交換を行っています。

 

リアルとネットが対立するのではなく、リアルの空間には、驚きや発見があるはずです。

狸小路

そんなことを実践してみたいという思いから、札幌の狸小路商店街で「NOMIPON」という「はしご酒」ができるイベントを、私のゼミの学生達が主体となって運営しています。

これは、ゼミの学生発ベンチャー「i-vacs」が自ら主催し、毎年8月に行っていて、2019年で11回目となります。何枚つづりかのチケットを買っていただき、それを持って参加店に行くと、お得なメニューが楽しめる、という企画です。「社員」である学生自らが営業に行き、毎年70~100店舗が参加してくれています。

実際に利益を出して経済を回して、地域にもお客さんにお喜んでもらえる、という活動とするために株式会社組織として、毎年社長を学生から選んでいます。

 

大学院生の頃の研究テーマは「通信販売」。

私の出身は京都です。学生時代のゼミがマーケティングで、その面白さに出会い、この分野で仕事ができるといいなと思っていました。一時はプロのミュージシャンを志したこともあります。フュージョンやジャズが好きで、ギターやウッドベースを弾いていましたが、結局、生涯、マーケティングに関われる研究者の道を選び、神戸大学の大学院に進みました。

その時の研究テーマは通信販売です。もちろんそのころはネットなどなく、カタログ通販が主です。共働きが増え、自由時間が少なくなっていく中で効率的に物を買いたいという消費者の要求に応えて出てきた販売方法なのです。

その後のネットの発展、ECと呼ばれる電子商取引の普及は目を見張るものでした。当時のカタログ販売の先駆けで、かつての全米最大手の小売企業「シアーズ」が昨年経営破綻したのは、そういう意味では時代の流れを感じます。

 

北海道の潜在能力をいかに魅力的に発信できるのかが鍵。

北海道には潜在力があると感じています。北海道の地元企業ではないのに、北海道の地域の魅力に価値を見いだして成功している例が多くあります。モノにこだわらず、北海道でしか体験できないことがあります。それを本当に魅力的に発信できるかどうかが問われているのではないでしょうか。

近藤公彦(コンドウ キミヒコ)

同志社大学商学部卒、神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(商学・神戸大学)。 岡山商科大学助教授、1997年より小樽商科大学助教授、米国ノースウェスタン大学大学院客員研究員を経て、2003年より小樽商科大学教授。

研究者総覧

Column 商大探舎 Vol.13

外国語劇

1920年代後半、学生の課外活動の一つに「外語部」があった。その中心は外国語劇大会の主催だった。実際の出演者は英語や各第二外国語のクラスからの選抜者で、教員陣も指導・演出にあたる全国的な行事だが、会場の設営や運営、プログラムの作成などで、外語部の奮闘が不可欠だった。毎年11月か12月の2日間、一般市民にも公開され、ときには英米、旧ソ連の領事館関係者も見学にやってきた。外国語劇は小樽高商の名物行事だった。

外国語劇 独語

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