2024.04.05
令和6年度入学式 学長式辞
商学部ならびに大学院の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
保護者の皆様もお喜びのことと思います。小樽商科大学の教職員を代表して、新入生の皆さんが本学の一員となることを心から歓迎致します。
皆さんはコロナ禍のなかで中学、高校時代を過ごし、社会が大きく変わる姿を目の当たりにされました。学校での学びやクラブ活動、受験勉強でも大変苦労されたと思います。多くの困難を乗り越えた皆さんの努力に敬意を表したいと思います。一方で、逆境にある時こそ人は成長するものであり、皆さんもその例外ではありません。
さて、本学は明治44年、1911年に我が国で5番目の官立の高等商業学校として設立されました。創立以来、初代校長渡邊龍聖が掲げた、「実学・語学・品格」を教育のモットーとしてきました。大学の正門を入った左手に渡邊先生の写真と「実学・語学・品格」と書かれたモニュメントがあります。時代が移り変わろうとも、本学の教育の基本は変わることはありません。
皆さんにとって、実学という言葉は普段あまり耳にしないものかもしれません。ここで言う「実学」とは、現実に即した学問というだけでなく、幅広い教養と高度な専門性に裏付けられた実践的な学問のことです。本学では一般教育において歴史や文学、自然科学などの科目を揃えています。また、語学教育にも力を注いでいます。そのうえで、経済学科、商学科、企業法学科、社会情報学科において、より専門的な教育を行っています。さらに大学院教育については、小樽では大学院現代商学専攻、博士前期課程及び後期課程においてアカデミックな専門教育を行っており、札幌にあるビジネススクールでは主に社会人を対象に高度な実践教育を行っています。
一昨年4月に本学は帯広畜産大学、北見工業大学と経営統合し、新たに北海道国立大学機構が創設されました。国立三大学の経営統合は我が国でも初めての試みです。しかも、距離が離れた大学の経営統合であり、全国からも注目されています。北海道内の実学を担う三大学の経営統合により、「実学の知の拠点」となり、北海道経済の発展のため、新たな教育、研究を進めています。
三大学の経営統合により1年生の段階から他大学が提供する科目を履修することができます。これにより、これまで以上に幅広く教養科目を学ぶことができます。また、他大学の農学、工学を学ぶ学生とともに学ぶことにより、いわゆる理系の人たちの考え方もより身近なものになるでしょう。2年生以上向けのアントレプレナーシップ副専攻プログラムも始まり、学びの幅は広がり、多様性を持つようになります。
大学では皆さんが主体的に学ぶという姿勢が求められます。大学で何をどう学んで行くかは基本的に皆さん一人一人が主体的に考えて行かなければなりません。アクティブラーニングや学外での学びも用意されています。特に本学では研究指導、いわゆるゼミが必修となっています。3年生、4年生の2年間指導教員や他のゼミ生とともに専門分野について少人数で学びます。ゼミでの少人数教育も本学の教育の特徴の一つです。ゼミは専門の学問に触れるだけでなく、部活やサークル活動と並ぶ人格の陶冶の場でもあります。
今日、生成AIなどの技術の進歩により知識を持つことの意味が問い直されています。そのようななか、より創造的な発想や思考が重要性を増しています。今後、大学での学びや社会に出てからの学びも大きく変わる可能性があります。常に変化に対応し、自己を高める姿勢を持ち続けて下さい。
これまでも揺れ戻しを経験しながら、グローバル化は進んできました。大きな流れとしての経済のグローバル化自体を止めることはできません。日本にとっても、そして北海道にとってもグローバル化は経済活性化のために必要です。皆さんには常に世界情勢に目を向け、国際人となるための素養を身に着けて頂きたいと思います。
語学の重要性についてはここで改めて強調する必要はないと思います。皆さんの中にも留学を希望されている方がいると思います。本学はかつて「北の外国語学校」と呼ばれたほど、語学教育には力を入れてきました。その伝統は今も変わりません。さらに短期語学研修や交換留学の制度を設けて皆さんの後押しをしています。2017年にグローカルマネジメント副専攻を開始し、2020年度からはグローカルコースも始まりました。これらのコースでは、英語で留学生とともに専門科目を学ぶことができます。
また、これまでの入学式の式辞でも繰り返し述べましたが、12年前、本学のグラウンドにおいて運動クラブの学生が飲酒により死亡するという事故が起こりました。この学生は入学したばかりの1年生でした。亡くなられた学生には心からの哀悼の意を表したいと思います。一方で、私達はこの事故を教訓とし、二度とこのような不幸な事故を起こさないことを誓いました。その誓いの石碑が体育館の玄関横にあります。成人年齢は引き下げられましたが、二十歳未満の飲酒は法律で禁じられています。それだけでなく、飲酒は時には死につながる危険な行為でもあります。私達も皆さんにとって安全で安心できるキャンパス作りに努力していきますが、皆さん自身もルールを守り、充実した学生生活を送って頂きたいと思います。
最後になりますが、大学の4年間、そして大学院2年間、または3年間は皆さんの自身の限りない未来を作り上げる大変貴重な時間です。失敗を恐れず、あらゆることに積極的に挑戦してください。本学は皆さんの挑戦を全力でサポートします。
令和6年4月4日 国立大学法人 北海道国立大学機構
小樽商科大学長 穴沢 眞
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