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2018.04.04

平成30年度入学式 学長式辞

商学部、大学院の新入生のみなさん、みなさんは、今日から、小樽商科大学の構成員になられました。心より歓迎し、お祝いを申し上げます。本日のこの式にご臨席を賜りましたご家族のみなさま、ご来賓の方々にも篤く御礼申し上げます。

新入生のみなさんは、大きな期待と若干の不安をもって、大学の門を潜られたことと思います。大学では、新しい出会いや体験、今まで知らなかった考え方・思想、異文化との触れ合いが待っています。誇りをもって小樽商科大学で学んで頂きたいと強く願うものであります。

小樽商科大学は、1911年(明治44年)、この地で、旧制の高等商業学校として誕生いたしました。戦前は北海道では唯一の文科系高等教育機関として、戦後は商学を中心とした社会科学系の単科大学として「実学」、「語学」、「品格」をモットーとする教育を展開し、北海道のみならず全国に、社会を支えあるいは社会のリーダーとなる人材を送り出してきました。

小樽商科大学は、特定の分野で専門を深く掘り下げると同時に、人文社会科学、自然科学、外国語など幅広い分野の知識を修得する教育(T型人材の育成)を一貫して追求してきました。更に、単なる知識の修得にとどまらず、それらの知識を用いて、社会の課題に取り組み、解決策を考える能力・意欲(主体的に学ぶ力)を涵養することにも力を入れてきました。そのために、アクティブラーニングや学外学習を、全国の大学に先駆けて取り入れ、また、ベンチャー教育、海外留学支援、様々な分野で活躍する人との交流の機会の提供に務めてきました。これが、小樽商科大学の「実学」教育であります。

「実学」の精神は、大学院の教育研究にも貫かれています。数少ない国立の商学研究科として、社会の幅広い層の人々に、高度な専門知識・理論を、専門職大学院(ビジネススクール)にあっては高度専門職業人として必要な実践的な知識・能力を身につける機会を与えてきました。

小樽商科大学は、商学部のみの単科大学であります。しかしながら、みなさんが学ぶ商学は、ビジネスや経営学やマーケティングだけではありません。本学では、「商学」を、複雑な現代社会を理解し解決を導くための、さまざまな学問分野を融合させた総合的・実践的社会科学ととらえています。本学には、多様な分野の研究者が集まり、自由で活発な交流が行われています。これが本学の「実学」教育を支えているのです。

小樽商科大学のもう一つの教育方針は、「国際感覚を備えた品格ある人材」の養成であります。現在、多くの大学が、グローバル化した時代をひらくための教育研究に取り組んでおり、一大潮流となっています。本学も、現在「グローカル人材の育成」という目標を掲げて改革を進めています。「グローカル」とは、「グローバル(地球規模)」と「ローカル(国、地域、職場)」を合成したことば、グローカル「人材」とは、グローバルな視野のもとに、自分が置かれているローカルな立場からものを考え行動する人のことであります。これも本学の伝統であるT型人材の一つです。そのために、本学の伝統である語学教育、長い実績を持つ国際交流をさらに充実させるとともに、「グローカル・マネジメント副専攻プログラム」を始めとする副専攻をスタートさせました。国際交流では、留学に関するほとんどすべての費用を支援する給付型の海外留学奨励金制度を用意しています。海外留学も副専攻プログラムもすべての学生に開かれています。みなさんのチャレンジを期待しています。

学部・大学院を卒業・修了すると社会が待っています。空前の売り手市場のもとで、今のところ就職は順調です。みなさんが卒業・修了する頃も続いているかも知れない。しかしながら、私がここで申し上げたいのは、就職した後のことであります。

みなさんが職を得て働くであろう日本の社会は、大きな変化を遂げつつあります。まず、人口減少、少子高齢化の進行です。働ける人が段々少なくなっていく、その中で日本が成長するためには、働ける人一人一人の能力の向上が求められるようになっていきます。さらに、デジタル・ネット社会の異常な発展です。あらゆる情報がネットで繋がれ、われわれの日々の行動は膨大なデータとして企業や公的機関に集積されている、そしてそのデータをもとに学習能力を備えた人工知能が未来を予測する時代にすでに入っています。この動きは、わたしたちの職業や働き方に決定的な影響を与えるかもしれません。多くの職業が失われるといわれ、逆に次々と新しいビジネスが生まれています。

変化する社会を牽引するのは、新しい知識・技術・考え方です。みなさんは、これから、このような社会で生きていかなければならない。そのためには、急激な変化に対応できる能力を身につけることが必要です。さきほど述べた本学の教育方針「T型人材育成」は、まさにこのような時代に対応するためのものです。

大学での学びは、自主的に行うものでなければなりません。自分自身の成長と仕事につながるものです。苦労を厭ってはなりません。たとえ興味の沸かないこと、苦手なこと、自分自身に直接役立たないと思われることであっても、決してあきらめずに取り組んでください。そして、もっとも大切なことは、そのようにして、学ぶ意欲、卒業後も学び続ける意欲を養うことです。

大学院で学ぶみなさん(そのなかには専門職大学院で学ぶ社会人の方々もおられます)、これから取り組む研究、修得するであろう高度職業人能力が、複雑で流動的な現代社会を生き抜くためのあらたな地平を開き、更なる発展に結びつくことを期待しています。そのために本学が貢献できればこの上ない喜びであります。

もう一つ、毎年入学式でお伝えしていることがあります。この会場・体育館の玄関横に小さな碑が建っています。今から6年前に、本学のグラウンドで運動クラブの学生が飲酒で死亡する事故が起こりました。この学生は、入学したばかりのみなさんと同じ大学一年生でした。私たちは、亡くなった方に衷心より哀悼の念を捧げるとともに、二度とこのようなことが起こらないように生命・安全を守ることを誓いました。これはその「誓いの碑」です。未成年の飲酒は法律で禁止されています。また、飲酒は、場合によっては大変危険をともなう行為です。みなさんとくに大学一年生の諸君においては、大学の指導を守り、健康と安全に注意して大学生活を送ってもらいたいと思います。

1911年に前身の小樽高等商業学校ができてから25年後、学生新聞(緑丘新聞)のなかで、一学生が、母校のことを、「北に一星あり。小なれどもその輝光強し」と称えました。これは設立間もない母校の将来を願う誇りに満ちたことばです。私たちは、その後、学生が言い出したこのことばを、大学の標語として使い続けています。私は、みなさんとともに「小さいけれども輝いている」、そういう大学を作っていきたい。ですから、小樽商大がみなさんのために何をしてくれるかということだけでなく、みなさんが小樽商大のために何ができるかという気持ちで大学生活を送ってくださるようにお願いします。

みなさんのこれからの大学・大学院での生活が稔り豊かなものになることを祈っています。

平成30年(2018年)4月3日

国立大学法人小樽商科大学長和田健夫

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