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エバーグリーンからのお知らせ

2015.10.28

平成27年度第3回講義:「しごとのこと」

 

講義概要

 

○講師:堀内 康平 氏(平成8年 商学部経済学科卒業)

 

○現職等:七十七銀行 泉パークタウン支店 次長

 

○題目:「しごとのこと」

 

○内容:「しごと」の持つ本来の複数の意味から、職業についての「しごと」を、会社員、自営業そして社長業からアプローチする。そして良い「しごと」をするために重要になる学生時代の過ごし方について考えてもらい、現在の自分を顧みながら、これからの針路づくりの糧にしてほしい。

 

講師紹介

 

1972年青森県深浦町生まれ。秋田経済法科大学付属高等学校卒業。1996年小樽商科大学商学部経済学科卒業。同年㈱七十七銀行入行。法人営業部法人渉外課副長、長町支店支店長代理などを経て、2015年より泉パークタウン支店次長

 

良い思い出しかない学生時代

 

私は1992(平成4)年に小樽商科大学に入学しました。23年ぶりにキャンパスに帰ってきて、懐かしい気持ちでいっぱいです。商大の良いところは、とにかくアットホームな気持ちでいられること。これは首都圏の大きな大学などでは考えられないことですね。学生時代に熱中したのは、まず硬式野球部でした。勉強では、ゼミは井上巽先生の「西洋経済史」。ゼミ監を務めました。夕方からは、家庭教師をはじめ、いろんなバイトをしました。結婚することになる人と会ったのも、バイトの場でした。バイトではたくさんの大人と交わることができて、良い経験を積むことができました。子どものころから知らない人と話したり友だちを作るのが好きだったので、就職に際しては、金融の世界でさまざまな人と出会ってみたいと思いました。いまその希望は叶えられているな、と思います。小樽商大の底力を実感したのは、就職活動やビジネスの現場に出てからです。小樽高商時代からの諸先輩の活躍が、私たち後輩の株を上げて見せてくれるのです。商談の場で出身校をたずねられて、小樽商大ですと言ったとたんに話が進むことがあります。

 

 

地方銀行の仕事の現場で

 

私は、宮城県に基盤を置く地方銀行、七十七銀行に勤めています。地方銀行の役割は、地域の経済力を高め、地域の豊かさづくりに貢献すること。地銀の仕事はそもそも、今日提唱される「地方創生」に根ざしています。入行するとまず本店のある仙台市内の支店を複数経験して、それから県外店にも配属されながら、この6月からは支店次長として、仙台のニュータウン、泉パーク支店に勤務しています。銀行マンに転勤はつきもので、家族ともどもたいへんではありますが、はじめての土地でいろいろなお客さまとお付き合いができるのは、人として得がたい経験でもあります。いままでの店で最も楽しかったのは、青森時代です。法人の新規開拓のセクションで、ひたすら攻めていけばよい仕事。自分としてはいちばん伸び伸びやれました。新規開拓の進め方は、異性と仲良くなるのと同じなのです。あの人(社長や幹部)に自分(自社)をわかってもらい、気に入ってもらいたい。そのために、私と付き合えばこんなに良いことがありますよ、と心を込めてさまざまなアプローチを工夫します。これに対して得意先との契約を守るだけの仕事は、自分としてはとても疲れます。油断をすると、凧が強風で自分の手から飛ばされてしまうように、顧客を他行に取られてしまうのですから。

 

仕事とはなんだろう?

 

仕事というと、給料のために働くことだと思いますか? しかし辞書を引くと、4つくらいの意味があります。ひとつめは、「何かを作り出す、または成し遂げるための行動」。勉強や部活もこれに当てはまりますね。二つめは、「生計を立てる手段として従事する事柄、職業」。これが皆さんがまず考える仕事でしょう。三つめは、「したこと。行動の結果。業績」。良い働きをしたときに「グッジョブ(good job)!」なんて言いますが、これがそれ。上司にこれを言われると、ほんとうにうれしいものです。そして最後に、「悪いことをしたりたくらむこと。しわざ。所業」。

 

こうしてみると、つまりどんな人でも、毎日仕事漬けなのです。生きていくことは、仕事を重ねていくことにほかなりません。では職業としての「仕事」を分解してみましょう。それは、サラリーマンと自営業に分けられます。

 

サラリーマンは毎月一定の給料を得て、安定して暮らせます。ローンを組むときでも会社の信用があります。病欠でも同僚がフォローしてくれるし、厚生年金や税金の手続きも会社がやってくれる。自分が社会の矢面に立つことはあまりなく、社会的責任は限定的でしょう。一方で、組織のルールに従わなければならず、全体に自由度は低いわけです。

 

これが自営業だとどうでしょう。実力があれば、自分の好きなことをやって生計が立つ。すべて自己責任ですから、いやな上司も理不尽な人間関係もありません。誰からも文句を言われないのです(ビジネス上で顧客などとの軋轢はあったとしても)。しかし一方で、その仕事が明日どうなるか、世の中の動きや病気などによって売り上げが急激に落ちてしまうかもしれない。抱えるリスクは、企業組織の中にいる人とは比べものになりません。

 

社長業の厳しさとやりがい

 

サラリーマンと自営業者、それぞれの延長上にあるのが社長業です。サラリーマンなら、競争を勝ち抜いて到達する頂点。自営業の場合は、事業を拡大していって人も雇用して法人化することで社長になります。

 

私は仕事でたくさんの社長と仕事をさせていただきましたが、成功している社長が日々こなしている仕事の量と質は、サラリーマンや個人事業主の比ではありません。情報収集も徹底していて、つねに向上心をもって、事業への自問自答を繰り返しています。

 

ある社長に社長業とはどういうものですかと聞いたとき、その方は「下りのエスカレーターを上ってるようなものだよ」とおっしゃいました。ちょっとでも立ち止まると下がってしまうのです。社長業は、ビジネスに精通した人が心身ともにタフな状態で日々努力を続けなければならいない激務です。だからこそそこで達成するものには、たいへんな価値があるでしょう。社長とは、絶対にぶれない信念をもっている人だと思います。

 

また近年は、大学在学中に、あるいは卒業してすぐに起業する(社長になる)人もいます。そういう方に金融機関が融資するのは難しいのですが、各自治体の支援制度もあります。金融機関も、直接その人に融資するのではなく、企業支援のファンドに投資して、そこが資金の流れをつくることもあります。

 

学生時代に意識すること

 

社会人になると、学生時代がいかに恵まれた環境にあったのかがわかります。自由度が高い学生時代を有意義にすごすために、こういうことを意識してみてください。

 

◎興味・関心事にチャンレンジ

 

いろいろなことを経験して、自分の引き出しを大きくたくさん増やしましょう。

 

◎現状分析・把握

 

いま自分はどこにいるか。どんなふうに走っているかを俯瞰しましょう。

 

◎期限と段取り

 

締め切りから逆算して、やるべきことを整理しながら行動しましょう。

 

◎相手・周囲への目配り(気配り)

 

まわりの状況を正しくつかむ。これができれば、どんな仕事でも成果が出せます。この能力だけで、きっと一生食べていけるでしょう。「チャレ」ンジ、「分」析、「段」取り、「目」配り。これらのキーワードから、私は「チャレブンダンメ」というおまじないを作りました。社会人になって良い仕事をするためには、この「チャレブンダンメ」を意識して、実践してみてください。

 

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