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エバーグリーンからのお知らせ

2018.11.14

平成30年度第6回講義:「私のキャリアデザイン〜仕事を通じて得たこと〜」

概要(11月14日)

○講師:早坂 めぐみ 氏(平成2年商学部商業学科卒/キリンビール株式会社 千葉支社営業部副部長)

 

○ 題目:「私のキャリアデザイン〜仕事を通じて得たこと〜」

 

○ 内容:のちにバブルと呼ばれる好況期に私は大手ビールメーカーに就職した。北海道で初の女性営業から、東京で女性プロジェクトチームのリーダーに。そしてトップシェア奪還をめざしてはじまった、全社の組織風土改革の専任メンバーとしても仕事をした。管理職になったいま、これまでの仕事人生で体験したことや学んだことの中から、後輩たちのキャリアデザインへのヒントとなってほしいことを伝えたい。

 

“一歩踏み込む勇気を持つ人が、成長を続けられる”

 

初の女性営業としてセールス最前線へ

小樽に生まれた私は、その後実家が千歳に移ったので、緑町の女子寮に暮らしながら商大に通いました。部活は弓道部。いまこの講義は午後の最初にありますが、この時間帯、弓道部員はみな弓道着で教室に入ったものです。なぜなら、14時30分から正式練習があって、それには絶対に遅刻ができないので、昼休みのうちに着替えておかなければならなかったのでした。自分を追い込みすぎて弓道部は途中で退部してしまったのですが、人間関係の築き方やチームワークの意味、目標実現のための計画づくりなど、私はこの時代に、いまに活きるとてもたくさんのことを学びました。

 

皆さんはミレニアム世代といわれますが、私はバブル世代。まわりはみな、誰でも知っているような大企業に就職していきました。時代がちがいますね。いまはスラッシュキャリアの時代、などとも言われます。「/(スラッシュ)」で肩書きをいくつも並べるように、複数の分野で仕事をする人がいる。今日は、皆さんのこれからのキャリア形成のヒントになるようなお話をしたいと思います。

まず、チェックイン。近くの人同士2、3人で、これからの90分であなたが何を得たいか、あるいは最近気になっていることなど、対話してみてください。このチェックインは、参加者がその場に参加しやすくしていくために使われる手法です。

 

 

では始めます。

私はキリンビールに入社して、まず札幌の北海道支社で営業に配属されました。なぜキリンビールに入りたかったのか。実は実家が酒屋でして、父はいろんな酒造メーカーのセールスさんと付き合う中で、キリンはいいぞ、とよく言っていたのでした(入社してから私は、実家を担当していたその優秀な先輩に会うことができました)。札幌での最初の仕事は、フルスペックのルートセールス。問屋さんや小売店、そして飲食店など、幅広いお客さまにキリンビールを売り込む仕事です。北海道で初の女性営業でしたから、やっぱり女には無理だな、などと絶対に言われたくありません。ビールの大瓶20本を詰めた15,6キロのケースを男性社員と同じように運んだり、生ビールのディスペンサーも、20キロくらいありました。飲食店の店長や社長さんからの、ときに厳しい(笑)扱いにもくじけることなく、私はキツイ仕事を楽しくこなしていました。当時をふりかえると、お客さまに対して私は3つのことを意識していたと思います。

 

  1. 社名ではなく名前で呼んでもらう
  2. 「できません」とは言わない
  3. 信頼されるパートナーになる

 

そして自分に対しては、

 

  1. 目の前の仕事を100%やりきる
  2. 納期を守る
  3. 自分の引き出しを増やす

 

1999年に人事コースが替わりました。そして2001年に東京支社の営業部へ。ほどなくして、女性向けの販売促進プロジェクトのチームリーダーになりました。チームのミッションは、ビールは男の飲み物、という社会通念を崩すこと。丸の内を中心に3千人くらいの女性会員組織を作りました。お酒と食を通して女性のわくわくを形にする「場」です。お酒について楽しく学べるセミナーを毎月開いたり、おしゃれな飲食店を借り切ってイベントを開いたり、お得意さまのところに覆面調査をしていただいて、そうした女性の声をお店にフィードバックしたり。こうした活動がマーケティングの書籍や女性誌にも取り上げられて、社長賞をいただきました。

 

 

首位陥落の大事件の中で

 

10年前の2008年、今度は組織風土改革の専任メンバーに選ばれました。全社的な大きな取り組みですが、背景はこうです。

キリンビールは1970年代から80年代まで、60%を超えるナンバーワンのシェアを14年間も誇っていました。しかしアサヒさんが1980年代後半にスーパードライという新製品を出すとマーケットが激動します。シェアを喰われていったキリンは4つの工場を閉鎖するという大手術に踏み切りましたが、2001年にはついに首位の座をアサヒさんに明け渡してしまいました。これは私たちにとってとてつもない大事件だったのです。組織風土改革というプロジェクトは、こうした状況を打開することを目的に動き出します。

 

そもそも若者のビール離れ、アルコール離れが進んでいました。お酒を飲むよりほかのものにお金と時間を使う、といった生活観の変化が顕著でした。飲むにしても昔は居酒屋さんに入るとたいていトリビー(とりあえずビール)となったものですが、青年たちがいきなりカシスソーダを頼んだりしている(笑)。そして、世界最速で進む人口減の問題があります。これから30年で日本の人口は3千万人減ると予測されています。1年で百万人。一週間で2万人。なんということでしょう。飲食業界にとっては、一週間で2万ずつお客さまの胃袋が減っていくのです。2005年、キリンは長期経営大綱を掲げました。10年で3兆円企業を目ざすという大胆なものでした。オーストラリアやブラジルなどの海外メーカーをM&Aで傘下に収めて規模拡張が図られましたが、やはり国内の酒類事業が本丸です。ここが再成長しなければ目標は近づきません。そこで経営陣は、大きくふたつの目的を掲げたプロジェクトを立ち上げました。ひとつは、社員ひとりひとりのパワーアップ。一方的な命令を受けて仕事やらされているときの生産性を1とすると、意味をちゃんと理解したときのそれは1.3、そしてその仕事に自ら参画したときの生産性は1.69になる、という研究があります。自ら考えて行動することで、10人でやっていたものが6人でできるようになるわけです。

ふたつめは、現場の声や情報を効率的にトップにあげること。

 

当時の社内風土をトップはしばしば、「内向き」「上向き」「箱文化」などと呼びました。発想が内向きで、社員は上司の評価ばかりを気にしている(海底にいるヒラメのように視線が上向き)。そして自分が所属する部署のこと(箱の中)ばかりに気を取られて、ほかの部署との連携が薄い。部署の外に出て行こうとしない。私たち改革の専任メンバーは、全社的なビジョン・指針を、トップダウンではなく現場から策定して共有していくために、「ダーウィンフォーラム」という議論の場を立ち上げました。内発的な力を最大限に活かしたかったので、指名ではなく自主的な参加を募ったところ、工場、物流、営業と全国のいろんな部署から111名の社員が手を上げてくれました。なぜダーウィンなのかといえば、生物の進化史を探求したダーウィンに、環境の大変化に対応できる強い組織づくりの進路を重ねたのです。WBSTV東京)という夜の経済番組のキャスターになって50年後のキリンを描く、といったフォーラムを開いたりしました。

そこで「酒類事業の誓い」と名づけて、私たちが掲げるべきキリンらしい精神を文章化しました。「誰よりもお客さまの近くに。もっと豊かなひとときを」というスローガンからはじまる考え方を、完結にまとめたのです。

たくさんの議論の中から磨かれていったのは、私たちは酒という「モノ」を作って売る企業ではなく、人と人のあいだを豊かに結ぶといった、酒が可能にする「コト」を作って売る企業である、ということ。そしてそれを日常の業務レベルにつなげるために、「行動の原点」をまとめました。

 

コーチングが大組織を変えていく

 

さらに取り入れたのが、コーチングという手法です。

コーチとは何でしょう?  語源をたどればコーチとは馬車を動かす御者のことで(コーチという革製品の高級ブランドのマークを思い浮かべてください)、意味するのは、「相手を目的地(ゴール)に連れて行く人」。ですから選手をしごいて強引に引っ張っていく、といったスポーツのコーチは、本来のコーチではありません。大切なのはあくまで当人の意志や力。コーチはその人がめざす目標(売上数字や商品開発や効率のアップなど、目標は部署によってさまざまです)に伴走してその努力を認めながら、動機づけを助けたり、アドバイスを贈る人なのです。コーチングではこう考えます。「答えや能力はすべてその人がすでに持っている」。だからコーチの役目は、その人の能力を最大限に引き出しながら、内発的な行動を導いていくこと。コーチングの基本では、「傾聴」「質問」「承認」という3つのスキルが重要です。とりわけ目標や現状の自己分析などについて、相手の動機と行動を自然に引き出すような問いかけ(質問)が大切です。良い質問を受ければ、良い対話が深まり、自ら解決していく道筋がおのずと見えてくるでしょう。私たちはコーチングによって、シェア奪還のために企業風土を変えて行こうと考えました。

 

コーチングという組織活性化の科学的手法は、1990年代のアメリカで生まれました。日本でも広がりはじめ、資格制度も生まれていました。私たちはまず社員の10%がプロコーチとなるためのプログラムをつくって、社内の上下関係だけでなく、ヨコやナナメの関係でもコーチングができる文化を育てていこうと考えました。従来は直接的な関わりが少なかった部署同士が、コーチングによって理解し合い、より創造的な連携ができるわけです。大きな組織全体が、互いに各部署に関心をもって関わり合う文化をつくることが目標です。私は生涯学習開発財団認定のプロフェッショナルコーチの資格を取って、社長と前社長のコーチングをしました。

コーチングの具体的な内容は多岐にわたるので、興味を持った方はぜひ自分で詳しく調べてみてください。

 

キリンではコーチングを導入して、「エマージングリーダー」(次世代のリーダー)を発掘することができました。そしてまわりに良い影響を与えて、ああいう人になりたいと思わせるモデル人材が増えました。さらにはそうした変化によって、生産性(目標の達成スピードや確度、クオリティ)が劇的にアップしたのです。上司が部下の目標管理(MBOManagement By Objectives)をする場合、従来は目標の立て方自体に問題があったり、状況の変化に即応できない場合が少なくありませんでした。目標に届かなかった部下に年度末に厳しい評価を一方的に下すだけでは、問題の解決にならないでしょう。コーチングを導入することで、こうしたジレンマが解消されていきました。

さらには、上司のマネージメント能力がアップして、上司も自信をつけることができました。上司も部下もwin-winの関係でいられる部署は、コミュニケーションの質と量が大きく向上します。また職場のストレスが薄まって、メンタルヘルスが改善していく例もたくさんありました。互いに認め合い関わり合うという、双方向のストロークが功を奏したのです。

 

単に上からの命令で動くのではなく、自分の気づきや意欲で動くとき、人は大きな力を発揮できます。そうした個人がたくさん集まって、ひとりひとりが物事を深く考えながら自発的に行動できる企業は、とても強い企業になれるでしょう。答えは、他人から手っ取り早く教えてもらうものではありません。先に言いましたが、問題や課題に対する答えは、実はすでに自分の中にあるのです。こうしたコーチングは、主に個人の自己啓発として取り入れられることが多いのですが、私たちはこれを大きな組織全体のために活かしました。そしてこのころ、NHKの「クローズアップ現代」という番組で、私たちの取り組みが大きく紹介されました。少しご覧に入れます。(ビデオ上映)

 

 

進路設計はバックキャスティングで

 

健全な企業は、たくましく成長を重ねる樹木だと思います。そこで大切なのは、根を張る「土づくり」。移ろっていく環境の中にあるその木のために、木が本来もっている潜在力を見極めた柔らかくて豊かな土づくりが大切です。根は地下水脈を求めて深く広く伸びていきますが、この地下水脈は、企業のビジョンやブランドの価値観に例えられるでしょう。そして土は、互いに認め合い興味を持ち合う、信頼関係に裏づけられた企業風土であり、マーケットです。

 

発想の転換についてお話しします。

「フォアキャスティング」という考え方があります。過去と現在の状況やデータから未来を予測する手法です。その前提になるのは、今後それほど大きな構造変化はないだろうということ。

これに対して、「バックキャスティング」という考え方があります。こちらは、未来は単に過去と現在の延長にあるとは考えません。まず最初に、こうありたいと考える未来を設定します。シェア○○%、といった具体的なゴールです。そしてそれを実現するために、いまとこれから、何をしなければならないのかを考えます。そこでは、目標達成のためには現在のこの部分を大きく変革しなければならない、といった議論が起こるでしょう。

 

皆さんが進路を考えるときには、「バックキャスティング」が有効です。自分は将来何をしたいのか。そこをしっかり考えることで、ではそのためにいま何をしたら良いのかを具体的に考えることができます。大学の4年間はそういう時間だと思います。

 

キリンビールのCSV活動

 

ここであらためてキリンビールという会社について説明させてください。源流は、1870(明治3)年。ウィリアム・コープランドというアメリカの醸造技師が、横浜の外国人居留地にスプリング・バレー・ブルワリーという醸造所を立ち上げました。これが1885年にジャパン・ブルワリーとなり、1888(明治21)年にキリンビールというビールを発売したのです。現在につづく会社のはじまりは、1907(明治40)年。今年(2018年)で111年を数えます。

2007年に純粋持株会社であるキリンホールディングスが設立されました。グループ会社は海外を含めて252社(2017.12月末現在)あり(海外比率31.6%)、連結の売上高は1兆8637億円(2017.12月期)。残念ながらまだ3兆円の手前です。

 

私が所属するキリンビール(株)でいうと、従業員は約5100人で連結売上高は6,470億円(2017.12月期)となっています。

キリンビールはいま、CSV活動に力を入れています。CSRCorporate Social Responsibility・企業の社会的責任)のことは知っている方も多いと思いますが、CSV Creating Shared Value・共通価値の創造)についてはどうでしょうか?CSRは、いわば儲かった分の還元として社会貢献をするという考えですが、CSVの場合はさらに深く積極的に社会との関わりを訴求します。

CSVは、企業が堅実に利益を上げながら、同時に本業によって社会の問題解決を図ろうとする考えです。これは近江商人が大切にした「三方良し」にも通じます。「三方よし」とは「売り手よし、買い手よし、世間よし」のことですが、私たちは、キリンビールが関わる「個人のお客さま」、「飲食店や流通のお得意先」、そして原材料や資材を提供していただく「サプライヤー」が共に弊社と信頼を結ぶことで、それぞれの利を持続的に得られる仕組みを尊重しています。利とは、個人のお客さまにとっては「楽しい飲食生活」であったり、取引先企業にとっては「雇用の創出」「各社の売上・利益」などですが、私たちは自分たちの利益を、地域を支援したり環境保全に役立てたり、あるいはサッカー日本代表を応援することにも活かしています。

 

日本に百年企業ってどのくらいあると思いますか? 実は3万3千社もあるそうです。では世界で二百年企業ってどのくらいあるでしょう。5千500社くらい。そしてそのうち日本の企業が、6割以上の3150社。ちなみに2位がドイツで、3位がオランダ。さらに日本には、なんと千年以上つづいている会社も7社あるそうです。何が言いたいかというと、長寿企業にとってビジネスの目的はお金儲けではないのです。つまりそうした企業は、今日で言うCSVをずっと実践してきたわけです。企業は、日々たくさんのステイクホルダーと関わり合います。短期的な利益ではなく、そうした関係先と三方良しの精神で永く共存することを大切にする企業は、変化に対応して自ら変わることができます。その結果、百年単位のビジネスが展開できているのだと思います。

 

永く成長をつづけられるキャリア設計を

 

さて、先ほどコーチの語源の話をしましたが、ではキャリアはどうでしょう。キャリアとはもともと、馬車がたどって来た道を示す轍(わだち)のことです。その馬車の御者は、自分です。

自分のキャリアを考えるためのヒントをふたつ上げてみます。

ひとつは、「Must,Will,Can」のベン図。3つの円を描いて、自己分析してみましょう。

Mustの円には、自分が何をしなければならないのか(何をしているときに社会から必要とされている意味を感じるのか)を書き出します。

Willには、自分はいったい何をやりたいのか(仕事や業種ではなくその仕事が意味するもの)を。

Canには、自分には何ができるのか(何が得意なのか)を。

思い浮かんだことをそれぞれに書きだして、この3つの円が重なるところに、自分の「ありたい姿」、すなわち進路が見えてきます。

 

ふたつめのヒントは、SWOT分析です。

これはマーケティングで使われる手法ですが、自己分析にも応用できます。まず他者と比較した自分の(Strength)と弱み(Weakness)を。そして、自分を取り巻く外的要因の変化を3年程度予測してみて、機会(Opportunity)と脅威(Threat)を書き出してみる。

 

最後に、私が大切にしている価値観をキーワードで上げてみます。

・「Passion & Integrity」(情熱と誠実)

・「Serendipity」(必然的な偶然)

 チャンスの神様は前髪しかないといわれます。この言葉は、あなたに大きなチャンスが訪れたとき、瞬時に動く用意があるか? という自問です。

・「Resilience」(硬直していない、しなやかな超回復力)

 

そしてインディラ・ガンジーの言葉。

Live as if you were to die tomorrow, Learn as if you were to live forever!

(明日いのち尽きるように今日を生きろ。永遠に生きるように学びつづけろ)

 

皆さんサハラマラソンというマラソン大会を知っていますか? サハラ砂漠を2百数十キロ走る世界一過酷なマラソン大会です。参加者は食糧から砂漠用の装備まで、すべて自分で用意してそれを背負って7日間くらい走りつづけます。なにしろ死者が出るくらい地球上でいちばん厳しいマラソンなので、エントリーしても実際に走る選手は半分くらい。でも、実は出場した人の9割は完走するそうです。その話を聞いて私はこう思いました。

人間はとても保守的な生きものです。変化を恐れます。でもそんな中で、一歩踏み込む勇気を持つ人はものすごい力を発揮する。そして成長を続けられるんだ、と。

 

私の話はこれで終わりです。ありがとうございました。

では、はじめにチェックインしたので、チェックアウトしましょう。私の話を聞いて感じたこと、考えたこと、疑問などを近くの人と話し合ってみてください。そのあと皆さんからの質問に答えます。

 

 

 

 

 

<早坂さんへの質問>担当教員より

 

Q 早坂さんが就職した時代は、男女雇用機会均等法施行(1986年)からまだ日が浅く、早坂さんは大企業の総合職としてのキャリアを伐り拓いてきた世代だと思います。以来現在まで、日本のビジネス社会において女性のポジションはどのように変わってきたとお考えですか?

 

A 商大でも女子学生が増えて、いまは4割もいるそうですね。私の時代は3割くらいだったと思います。私が1990年にキリンビールに就職したとき、総合職の女子は採用の1割程度でした。そのうち同期で残っているのは、私を入れて管理職となった3人だけです。しかし近年、私の若い女性部下たちは、結婚してからもこの会社でずっと働きたいと、ふつうに考えています。さらにそのうち8割くらいは、子供が生まれても子育てしながら働くことを希望しています。かつてに比べると社内の福利制度が充実しましたし、社会全体のマインドも変わってきたんですね。確かに環境はずいぶん良い方に変わりました。でも働き方や暮らし方、生き方はあくまでその人自身の問題です。女性としてどのようなキャリアを作っていくかは、やはりその人次第だと思います。

 

Q お酒には、すばらしい魅力の裏側に、飲み方を誤ると憂慮すべき事態を引き起こすリスクもあります。ときに酒がもたらしてしまう社会的な問題についてはどうお考えですか?

 

A おっしゃる通りです。先に話したキリンのCSV (Creating Shared Value・共通価値の創造)活動では、多量飲酒、未成年飲酒、アルコール・ハラスメントといった問題の解決を探求するチームがあります。

私たちが作って販売するのは、お酒というモノではありません。「お酒がもたらすコトの価値」が、私たちの製品です。アルコールは、人と人を深く結ぶ、社会に欠かせない価値あるツールなのですから。

お酒のリスクをより広く皆さんに知っていただくために、私たちは企業の新人研修などでお酒の飲み方教室を全国で展開しています。妊婦さんをはじめ、お酒を飲んではいけない体質の方もいます。そういう方の体質チェックを行ったり、楽しいお酒のマナーを分かりやすく講義しています。またお酒の価値をあらためて認めていただいたり、お酒が社会でどのように機能しているかといったことを考えていただくためのショートムービーを作っています。これから一部をご覧にいれます。(ビデオ上映)。

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