- <担当科目>
- 金融システム論
藤木 秀明 准教授
FUJIKI Hideaki
地域金融機関の多面的な役割について研究しています
地域金融機関は、地域銀行や信用金庫、信用組合など、地域に根差して預金や貸出(融資)などの活動を行っていて、全国規模で活動する都市銀行や信託銀行とは異なる役割を担っています。バブル崩壊後の金融システムが不安定になった時代に、融資した資金が返済されない不良債権の処理に関して様々な議論があり、地域金融機関については地域に密着して活動することの強みを生かして地域企業を支援することや、地方公共団体と連携した地域活性化(地域再生など)の取り組みが求められるようになりました。
私は、近年関係性の変化が議論されることが多くなった地方公共団体のメインバンク(主力取引銀行)である指定金融機関(地方自治法に基づき条例で指定される公金出納を統括する金融機関)に着目して研究しており、2025年7月には単著『指定金融機関の未来』(金融財政事情研究会)を刊行しました。
民間資金を活用した地域活性化に興味を持ちました
研究内容に興味を持ったきっかけは、大学時代のゼミで、山崎充先生の『「豊かな地方づくり」を目指して』(中公新書)をもとに多面的な議論を行ってきた中で、バブル崩壊後の景気対策で行われていた公共事業に対する疑問でした。経済地理という分野のゼミなので、地方出身の学生が集まったゼミで、利用されるかどうか見込めないような道路を景気対策として建設することの是非について議論をしていたのですが、中国に返還される前に香港が新しい空港を民間資金で作るPFI(Private Finance Initiative)方式を耳にし、これからは金融機関の融資審査によるチェック(規律)を受けて公共プロジェクトを推進することが重要になると考えました。
その後、PFIをはじめとした民活事業に関わりたいと考えて東京三菱銀行(当時、現三菱UFJ銀行)に就職し、横浜銀行のシンクタンクである浜銀総合研究所に移籍して民活プロジェクトの実務に関わるようになりました。官民連携(PPP)を専門に教育している東洋大学の社会人大学院に通って修士号を取得したり、内閣府で市場化テストを推進したりと、所属や立場を変えて官民連携(PPP)とそれに関係する金融・ファイナンスに関する研究・教育・実務に関わってきました。

PPP/PFIや公共施設マネジメントの推進に関わってきました
金融・ファイナンスを基軸として、官民連携(PPP)や地方公共団体の関係について研究をしてきましたので、政府が進めているPPP/PFIについても国土交通省PPPサポーターの立場で協力しています。そもそもなぜPPP/PFIをはじめとした官民連携(PPP)の推進が大事なのかと申しますと、2011年に発生した中央高速道路の笹子トンネル天井崩落事故を契機に深刻な社会問題として認識されるようになった公共施設やインフラの老朽化があります。老朽化した公共施設やインフラを維持・更新するには多額の費用を要しますが、かつての「右肩上がり」の経済成長が見込めた時代に整備したものと同じものを再整備する財政的な余裕はまずないものと考えますと、民間の創意工夫や民間の収益機会と組み合わせた事業とするなど、あらゆる手段効率化を追求していく必要があるのです。
こうした公共施設・インフラの老朽化の課題に対して、地方公共団体の対応が求められています。私は、2011年に40年間の長期計画を策定した秦野市(神奈川県)の「公共施設再配置計画」の策定に委員として関与しましたが、後に内閣府の経済財政諮問会議の資料でこの取り組みが取り上げられ、総務省から公共施設等総合管理計画の策定要請が全ての地方公共団体に対して出されるようになりました。
金融システムについての講義を担当しています

私は9月に着任したばかりですが、最初の担当科目として夜間主コースの金融システム論を担当しています。金融論のテキストの中でも、基礎的かつ重要な内容(エッセンス)を厳選した教科書を使用し、貨幣や金利といった金融の基礎概念から、金融政策をはじめとした日本銀行の役割、金融システムの安定化、金融商品の分類、などについて講義しています。20年ほど前にはなりますが、私自身、中小企業に対して融資や決済、輸出入取引に関連した荷為替取引や為替予約等をはじめとした外国為替取引を担当した経験を持っておりますので、実体験を交えながら講義を進めたいと考えています。
また、北海道は、旧北海道拓殖銀行(拓銀)の経営破綻や、信用金庫や信用組合の再編などを考えますと、地域経済のエコシステムにおける金融の役割がより一層重要視される地域ですので、地域経済の担い手としての役割についても講義していきたいと考えています。この論点については、2027年度以降の昼間コースの科目で体系的に講義する準備を進めています。
商学を学ぶことは社会に出て活動する基礎になります
商学部というと、「サラリーマン養成学校」のように、ややネガティブなイメージを持たれるかもしれません。私自身、他大学ではありますが、高校から大学の商学部へ進学する際に、同様のイメージを抱いたことがありました。しかし、商学部で経営学、会計学、マーケティング、経済学などを学び、社会に出てからは、シンクタンクの研究員や政府部門の職員として働くうえで、その知識が大いに役立ちました。
経済理論や経済分析に秀でた人だけでなく、実際に組織を回して効率的に運営(経営)できるか、違う立場の組織や人間が協同・連携するデザインができるかということも求められた時に、助けになったのはビジネスの幅広い知識だったのです。実際に、先に述べた官民連携(PPP)は、New Public Management(NPM)と呼ばれる、民間企業の経営手法や合理化のノウハウを国や自治体の行政運営に取り入れ、公共サービスの質や効率を高める改革手法として広がったものだったのです。
世の中での経済の主たる担い手である企業の行動原理や会計、戦略、資金調達を幅広く学ぶことは、長く人生の基盤となりうる投資の選択肢として積極的に検討する価値があると思います。
小学校から高校まで、基本的に問題は与えられてきたと思います。なおかつ、与えられた問題に対して覚えこんだ答えを吐き出すことによって評価されてきたはずです。それにもかかわらず、社会にでれば、状況は変わっていきます。そもそも問題が与えられることもほとんどなければ、正答といえる答えもありません。
関連リンク