- <担当科目>
- 学部:マーケティング戦略
- 大学院(アントレプレナーシップ専攻):マーケティングⅠ、ケーススタディⅠ、リサーチペーパー
関隆教 准教授
SEKI Takanori
顧客との対話から生まれる創造性の探究
例えば、春から大学生になり、「ちょっと垢抜けたい」と思って美容室へ行くことに決めたとしましょう。でも、「どんな髪型にしたら良いのか」、「どんな色が良いのか」など分からないことばかりです。そんな時、美容室のスタイリストが、何気ない会話の中から好みや雰囲気などを理解し、自分にピッタリな髪型を提案してくれるとしたら、どうでしょう? その美容室、いや、そのスタイリストのところにまた行きたくなりませんか?
こうした顧客が抱える問題を認識し、その解決策を提案することがフロントライン従業員の創造性です。研究としては、どのような個人要因(例えば、性格)によって創造性は促進(あるいは、阻害)されるのか、また、影響を与えうる状況(例えば、上司との関係性)とはどのようなものか、といったことが検討されてきました。同様に、私も営業担当者やサービス業の従業員を対象に、創造性の促進あるいは阻害要因について研究を行ってきました。
一方、近年では、生成AIをはじめとしたデジタルテクノロジーの進化を鑑み、フロントライン従業員の創造性とデジタルテクノロジーの関係性についても研究を始めています。AIエージェントを活用することで、フロントライン従業員の創造性がどのような影響を受けるのかについては、興味深いトピックだと思っています。
実務的な視点から学術的な問いを見出す
大学入学前、私は企業に勤務していました。その後、キャリアアップやスキルアップのため、仕事をしながら小樽商科大学に通うことを決めました。まさに「二足の草鞋」を履いた生活を送っていたのです。大学の授業を受講する中で、一番興味を持ったのがマーケティングでした。マーケティングを授業で学んだ時、「理解はできたけれど、何か腑に落ちない感覚」が生まれたのを今でも覚えています。その違和感について考えていくうちに「自身が実践してきたことがマーケティング論において理論的にどう説明できるのか」といった問題意識が生まれてきました。しかし、その問いを探求するには大学の在学期間だけでは不可能でした。そこで、大学院の修士課程への進学を決めたのです。自分の実務的な関心を中軸に置きながらも学術的な問いを探求するという視座は、大学院で研究テーマを探索する際に役立ちました。修士課程からフロントライン従業員を対象とした研究を初め、博士課程でフロントライン従業員の創造性をテーマに本格的な研究に着手しました。それから現在に至るまで、この研究テーマへの関心が続いています。
フロントライン従業員の創造性は、皆さんにとって身近で感覚的に理解しやすいものだと思います。美容室のスタイリストの例もさることながら、日々生活を送っている中で、感動を覚えたサービスを受けた経験がある人も多いのではないでしょうか。もし、企業が自社のフロントライン従業員の創造性を高めることができるとしたら、それは競合他社と差別化するための一つの競争力になるでしょう。フロントライン従業員の創造性を研究することで、それをどのようにマネジメントするかといった示唆を提供することが可能になるのです。

マーケティングの理論と実践の架け橋
私の専門は「マーケティング論」です。マーケティングは、企業だけでなく、いまや自治体や非営利法人などでも活用されています。新たな施策を考案する際に知識を活用するのはもちろん、都道府県の広報活動にSNSを利用するなど、様々な場面で用いられています。
教育活動としては、前任の大学にて、森永乳業株式会社中四国支店と産学連携のプロジェクトを行い、同社製品の拡販企画を立案するゼミナール活動を行っていました。また、現在は、ビジネススクール所属ということもあり、実務とマーケティング理論の境界をつなぐ役割を担っています。
相互学習がもたらす深い学び
本学のビジネススクールは、多様なバックグランドを持つ学生が意欲的に学ぶための環境を整備しています。個々人の学習する姿勢はもちろん、学生同士が互いを高め合う雰囲気が醸成されているのです。ディスカッション中心の授業が多く、その中では、職業、経験、考え方などが異なる学生が闊達な議論を行っています。さらには、授業の枠を超えて、学生同士が自発的にチームを作り、ビジネスプランのコンペティションに出場するなど、学びの機会はますます広がっています。
ビジネススクールに少しでも興味をお持ちでしたら、ぜひ、一度、オープンクラス等に参加し、その雰囲気を体験してもらえたらと思います。きっと何らかの「気づき」を得られるはずです。

自分の可能性を広げてくれる大学
私は、企業で勤務した後に大学へ進学しました。その時、門をたたいたのが、小樽商科大学でした。時は過ぎ、研究者となって母校に帰り、今はビジネススクールの教員として、志高い学生たちと日々切磋琢磨しています。私の場合、小樽商科大学での学びが自身の新たな道を切り開くことにつながりました。
大学憲章にも記されている通り、小樽商科大学には「自由な学風と実学重視の精神」が継承されています。自立性を重んじ、様々なことに挑戦する機会を提供してくれる伝統のある大学です。高校生の皆さんはもとより、社会人の皆さんにも、ぜひ、「商大」の門をたたいていただければ嬉しい限りです。
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