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教員インタビュー 高橋恭子教授

  • <担当科目>
  • 予防の医学、基礎ゼミナール

高橋 恭子教授
Takahashi Kyoko


将来を健康に保つための今からの予防

 健康寿命を延伸するための対策について、前職の時から研究をしてきました。前職では高齢者の要介護状態の原因を探る研究を行っていました。その中で、生活習慣病が要介護状態に大きく関与していることを見出して、そのことについて知ってもらう取り組みを実施してきました。
 生活習慣病の予防は食生活、運動が重要であることは多くの人が知っていることですが、生活習慣を変えることが難しいことは多くの人が実感されていることです。若い時期から健康的な生活習慣を身に着けることができると、健康寿命を延伸させ、自分の望む生活を長く送ることができます。健康に関心が向きにくい若い世代にどのように予防の意識を持ってもらうのか、が現在のテーマです。

社会とのかかわりが健康状態を変えていく

 私が大学を卒業して3年ほどたった1996年に「成人病」という名称だったものが「生活習慣病」に変更されました。病気の本質が変わったわけではないのですが、「大人になると罹ってしまう病気」から「生活習慣の改善で予防できる病気」とイメージが大きく変わったと感じました。
 一方で生活習慣という言葉が入ったことで、病気の原因が個人の責任ととらえられるようになることが当時危惧されたのですが、そのとおりになってしまったことはとても残念なことだと思っています。生活習慣は個人の志向、努力だけではなく、環境の要因が深く関与しており、環境が生活習慣を形成していることも少なくありません。個人の努力だけではどうにもできないことも多くあります。
 そういった個人と社会の環境とのかかわりの中で、環境の変化によって病気のありようが大きく変わってくる分野であることが魅力でもあり、難しさでもあると感じています。

エビデンスを伝える難しさ

 どのような生活習慣が病気のリスクを高めるか、というデータ(エビデンス=科学的根拠)は蓄積されてきています。それらのエビデンスを元に行政や医療機関など多くの部署から病気の予防に関わる情報が発信されています。
 しかし、正しく伝えているか、正しく受け止められているか、については疑問に感じることもあります。短くインパクトの強いフレーズでの発信の方が影響を与えている感じることもありますが、どのように正しい情報を社会に伝えていけるか、はこれからも考えていかなければならないと感じます。

健康に関するテーマを取り上げています

 1年生ゼミの基礎ゼミナールを担当しています。毎年健康に関するテーマを取り上げ、自分たち同年代がどのようにしたら、将来の健康的な生活が送れるかを考えてもらっています。グループワークでは活発に議論が行われています。
 他の人の意見を聞きながら、考えを深めていっていますが、「調べる」ではなく「考える」で苦戦することもあるようです。成果はオアソビプロジェクトで発信することもあります。

気付きをもとに自分が変わっていく

 予防の医学の授業を担当していますが、大部分は情報を伝えるような形態になっているのですが、食生活と身体活動(運動)については自分の習慣に気づいてもらうような課題を実施してもらっています。学生の皆さんは自分の課題を客観的に見ることができているようです。
 商大生ならではのまじめさで、自分の生活習慣を変えるための高い目標を立てている様子も見られますが、なかなか生活習慣を変えるのは難しそうです。ただ、「このままではまずい」と思わないと変わっていきませんので、自分の健康を振り返る機会を持ってもらえるといいのではと思っています。

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