- <担当科目>
- 中国語I、中国語II、上級外国語(中国語)、外国語コミュニケーション、言語文学特別講義(外国文学、言語学)
- 【写真】台湾・政治大学にて
嘉瀬達男 教授
KASE Tatsuo
中国語と中国文学

中国文学については、文学だけではなく中国語学や中国思想にも優れた作品を残した、前漢末の楊雄(ようゆう・前53-後18)という人物を中心に研究しています。中国の古代の人物の中で楊雄ほど多方面に及ぶ作品を著し、またそのほとんどの作品が現在までほぼ完全な形で伝承されてきた人はいません。そこで各分野について楊雄の作品を解明し、その生涯と人物について検討を加えました。
このほか中国文献学の手法を重視しており、友人たちと翻訳書を2冊刊行しています。
広大無辺な中国学
中国文学と中国思想を勉強していた時、中国に2年間留学する機会が得られ、中国語学や中国文献学のおもしろさに気付きました。中国学は漢字・漢語が用いられ、相互に連続する広大無辺な学問領域です。時間軸は長大であり、地域は広大、人も作品も無数に存在し、それらは相互に関連しています。
楊雄の作品群も中国の文学・語学・思想分野のつながりを示すものです。そしてほとんどの作品が現在までほぼ完全な形で伝承されていることは、その作品群がこれまでいかに大切に伝承されてきたか、後世に与えた影響力を表しています。
楊雄は日本ではあまり知られていませんが、文章は『史記』を著した司馬遷と並び称され、哲学者としては孔子・孟子・荀子に次ぐ儒教の聖賢と見なされてきました。朱子などに批判されたため、過小評価されたこともありますが、現在では中国の教科書に取り上げられ、入学試験に出題される人物です。日本でも平安時代に研究された楊雄の伝記が、国宝として京都国立博物館に所蔵されています。
楊雄の文学・語学・思想と多分野にわたる作品群を読み解き、多面的な人物像を解明することは簡単ではありませんが、やりがいのある仕事だと思っています。

四川・成都市にて
漢字・中国語と日常生活

中国語は社会的な需要が年々高まっています。かつては学生たちと中国語で、小樽の地図や小樽文学館・博物館のパンフレットを作りました。それは当時まだ中国語で書かれた地図やパンフレットが少なかったからですが、今では街中に中国語の案内や標識があふれています。そして日本で中国人に出会うことが日常的になっています。そこで日本の日常生活において求められる中国語に対応する必要があると考えています。
また漢字について、「言語文学特別講義(漢字・漢語学)」と題して講義を行ないました。その授業を通して、私たちは思っている以上に漢字について分かっていない問題が多いことを実感しました。たとえば「中国人の名前は日本語と中国語のどちらで読むべきか」、「「髙」や「﨑」といった異体字を公用文(ビジネス文書)に用いるべきか否か」「漢字のとめ・はね・はらいは必要か」など、日常生活の中でも漢字について結論の出ていない問題は少なくなく、こうした問題にどう対応すべきか、今後とも考え続けていきたいと思っています。
年々移り変わる中国語の授業
日本で中国語の履修希望者が急増したのは、1990年以降です。当初は日中友好が声高に提唱され、日本から中国に留学や旅行をする学生も少なくありませんでした。ですから授業の内容も、中国に行ったときに使う中国語の学習が中心でした。それが近年では御存知の通り、中国語圏から日本を訪問する旅行者や留学生が多数います。その結果、授業でも日本で使う中国語を学びたいという学生が年々増えています。
将来の日中関係や、私たちの中国語との接し方がどうなるのか予測もつきません。華僑や新華僑と呼ばれる、国境を超越した方々の動向も注視すべきでしょう。ともあれ今後どのような変化があっても困らないよう、冷静かつ公平な視点を身につけて欲しいと思っています。
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