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Barrel3100件目は加賀田先生の論文でした!



 3100件目の文献は,商学科の加賀田和弘先生による,「CSRと経営戦略 : CSRと企業業績に関する実証分析から」でした。


 加賀田先生のインタビューの様子をどうぞ~。



 Q:登録3100件目の論文「CSRと経営戦略 : CSRと企業業績に関する実証分析から」は、どのような内容ですか?


 大まかに二つのパートに分かれています。前半では、近年、実際のビジネスの現場・学術研究分野を問わず大いに注目されているものの、曖昧でよくわからないCSRの概念を自分なりに整理した上で、CSRを経営戦略の観点から捉えるためのフレームワークの一つを提示しています。経営戦略とは、極簡単に言えば「企業が経営を行う上での目的の決定とそれを実現するためのシナリオ・方針・設計図」のことなんですが、戦略が成功するためには、大きく分けて企業の外部環境に向けての条件と内部環境に向けての条件の二つが必要になります。一般に、前者を市場における企業の位置づけという意味で「ポジショニング」、後者を企業内の資源や能力を活用するという意味で「リソース」と呼びます。論文では、この「リソース」概念に注目して、経営戦略論の観点から、CSRへの取り組みを「コーポレート・レピュテーション」(評判・信頼・名声)という無形の経営資源を顧客の心の中に、あるいは企業内の組織資源として獲得・蓄積する活動と捉えることで競争優位を実現していくという考え方の提示を行いました。


 また、論文の後半では、CSRの取り組み状況と企業業績との関係について、東洋経済新報社CSR企業総覧のデータを用いて、企業の売上高経常利益率に関する実証研究を行っています。



 Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?


 もともと、山や自然が大好きで、環境問題に興味を持ちました。環境経営について色々と研究してきましたが、企業の環境対策は企業の社会的責任(CSR)論とも関連が深く、CSRについても自然と研究するようになりました。その際、環境経営と比べてCSRは多様な概念が含まれていて、論者によってその主張は様々でした。これは自分なりに定義をする必要があるなと思い、研究を始めました。後半の実証研究は、日本でCSRが言われ始めたのが2003年ごろからで、当時は企業の取り組み状況を開示したデータがなかったのでそもそも分析が難しいという状況でした。その後CSRのブームが来て、東洋経済新報社が2005年に主要750社の企業ごとのCSRデータをまとめた「CSR企業総覧2006」を出版して、各社のCSRへの取り組みについてデータを入手することができましたので、直近の2006年3月期末時点の財務データと関係を見てみようということで分析を行いました。



 Q:現在の研究について教えてください。


 基本的には、環境経営やこの論文で取り上げたようなテーマの理論研究を継続しています。実証分析では、最後に分析を行ってから少し時間が経ってしまいましたから、同じような実証分析の再検討や2007年12月までの好況期とそれ以降の不況期に分けた分析などをおこなっていきたいと思います。また、学内の地域研究会のメンバーとして、環境経営の面から見た、北海道の企業の活性化に取り組んでいます。経済学科の江頭先生と一緒に、道内の企業に、環境についての取り組みやCSRについてのインタビューを行ったりしているんですよ。



加賀田先生ありがとうございました。インタビューの続きはこちらから。


    

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