講義テーマ:「伝えることと伝わること」

                         2年 小川翔太郎

1.講義内容の要約

 今回の講義は、北海道テレビ放送(株)でアナウンサーをなさっている小野優子さんが自らの経験に即して「伝えることと伝わること」というテーマでお話になったものである。小野さんは@表現力とは、A物事を多面的に捉える、Bコミュニケーションの3つの小テーマに分けて語られた。
 表現力とは人に何かを正確に伝えるとき・伝えたいときに必要なこと、つまり「思いを込めること」である。それは私たちが家族や親しい友人と接するときに表現する表情、言葉遣い、微妙なニュアンスなどである。これらは私たちが外(社会)との関係において、気の合わない人々とも付き合わなければならない機会が増え、事務処理のような会話をこなすうちに、年々失われていくものでもある。
 次に、物事を多面的に捉えることで実はより「伝わる」ことに繋がる。つまり、多面的に見ることでその事象は「複雑」になり、それをまとめることでより真実に近いものとして「伝わる」ことになるのである。ただし、情報はやって来てはくれない。物事を多面的に捉える手段として「アクション」を起こすことが要求される。これは普段の生活一般に共通する大切な視点であり、今年のヒット映画の『父親達の星条旗』・『硫黄島からの手紙』も話題に挙げてお話しになった。
 最後に、小野さんはコミュニケーションということを「良い質問と悪い質問」という例を用いて説明された。端的に言うと悪い質問とは「Yes, No」で答えられるもので、良い質問とは「私は〜と思いましたが、あなたはどうですか」という質問である。前者では会話が途絶えてしまうが、後者では話者の意見という要因を付加することで、相手がより答えやすいスムーズな会話の流れを確保できる。また、「伝わる」ための一要因として「伝えてもらうには」という受け手の対応が実は大きな要因を占めているということもお話になった。
 「伝える」ことと「伝わる」こと、字面からは一文字違いの両者であるがその内容は大きく異なる。「伝える」ことは心に残らない無味乾燥なものとしてしか受け手に届かない。いわば送り手の一方的な伝達である。しかし、「伝わる」ことは送り手が伝えたいこと、つまりその場の温度、空気といった五感を通して送り手が感じたことや気持ちがダイレクトにそのまま受け手が感じられることである。それは決して一方通行ではあり得ない送り手と聞き手の共有状態を意味する。


2.問題提起及びコメント

 今回の講義を通して陳腐な言い方かもしれないが、小野さんは「プロだな」と感じた。普段はテレビを通じていつも笑顔でいるアナウンサーの方が、自分の伝えたいことを人々に「伝わる」ようにするためには何をしなければいけないのかをこんなにも模索しているとは思わなかった。また、少なからず自分はアナウンサー等報道関係者に偏見を持っていたのでプロとしての側面を目の当たりにしてその気持ちはやや緩和されたように思う。日常生活の中で伝えることと伝わることの違いを考えることはほぼないに等しかったが、人間である以上コミュニケーションは必須である。会話がうまくいかないとき、伝わらなかったり伝えてもらえなかったとき、この講義が思い出されるだろう。
 今回の講義の内容が小野さんの講義の仕方・進め方からも見受けられたことに私は説得力を感じたし、感心させられた。つまり講義が私たち大学生の立場に立って、興味を引くように進行されていたのである。だからこそ私にはインパクトのある講義であり、小野さんのお話しされたことを理解しようと思ったし、また、できたとも思う。「講義」自体が、講義内容を代弁していたように思えた。 自分もプロ意識を持って仕事をする人間になろうと強く思った。資産流動化という言葉を聞いたのは、この講義で初めてであったが、資金調達者、投資家の双方にメリットがあり、リスクも少ないということで、特に問題点は無いだろうと思っていた。しかし、今回のレポートを作成する際に調べてみると、決して問題が無いとはいえないことがわかった。


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