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講義テーマ:地域金融の経営戦略と役割
1.講義内容の要約
本講義では、講師である太田さんの職務経験、信用金庫の特色、バブルの崩壊と金融環境の変化、大手銀行の再編、地域金融機関の金融政策などについてご説明をしていただいた。
まず信用金庫とは、地域の住民から預かった資金を地域で必要としている人々や地元中小企業に融資することを通して、住民の生活向上や事業の発展、地域経済の活性化のお手伝いをすることを使命としている金融機関のことである。銀行との違いは、まず一つに非営利性であることが挙げられる。そしてもう一つは都市銀行のように全国展開せず、特定地域に密着した民主的経営を行っていることだ。信用金庫の議決権は、融資額に関係なく一人一票と決まっているので、利権が集中することがなく、地元住民に良質なサービスの提供が可能である。バブル経済の崩壊の際には、銀行のように杜撰な融資をしておらず、地域密着型の経営をしていたため大きな被害は起こらなかった。しかし現在、大手銀行同士が生き残りをかけ合併しているよう、景気低迷のあおりは信用金庫にも影響を与えている。このような環境の中で生き残っていくために、融資審査能力の向上、中小企業診断士の人材育成など新たな経営戦略にも力を入れている。最後に「生き残っていくためには更なる良質のサービスを提供していき、地域密着型経営を強めていくことが大事」と述べられた。
2.問題提起及びコメント
【問題提起】 日本には世界に類を見ないほどの中小企業が存在しており、戦後荒廃した国家を経済大国と呼ばれるまでに成長させたのは中小企業の技術力があったからだ。現在日本企業の99%は中小企業で、約1500万社程度存在している。この中には世界トップシェアを誇る製品を生産する技術力を有している企業も数多くある。そのため中小企業を支えていくことが日本経済を支えると言っても過言ではないだろう。そして、中小企業をターゲットとしている信用金庫の使命はとても大きいはずだ。日本政府は信用金庫を対象とした税金の優遇などを検討し、信用金庫を支えていく必要があるのではないだろうか。
【コメント】 大学生にもなりながら恥ずかしい話だが、これまで私は信用金庫とは消費者金融・俗に言うサラ金と同質のものだと思っていた。しかしその性質はそれとは正反対のものであった。信用金庫は銀行や消費者金融とは異なり、非営利性であり地域に密着した経営を行っていた。私は、信用金庫が利潤の追求を第一の目的としてはいないことに少なからず驚かされた。と言うのも以前の私のイメージでは、金融業に従事する人々は損得勘定がまず先に働き、景気の好調な時は都合のよいことを言って融資を募り、いざ景気が傾きかけた途端手のひらを返したように融資を断り見捨てると思っていた。しかし、太田さんの話を聞くと必ずしもそういうわけではないようだった。特に信用金庫の場合は、利潤の追求を主目的としているわけではないため、営業に人情的な一面が現れているようだった。太田さんの話してくださった「周囲の反対がある中で、上司を説得し融資した企業の経営が再び軌道に乗り出した」という話は感動的だった。こういうところに金融業のやりがいがあるのだろう。現代社会では、報酬よりもやりがいを求める人が増えているというが、今まで金融業に興味がなかった私も、太田さんの講義を受けたことで金融業にも興味を持てたように思う。私はまだ一学年なので就職活動はまだ先だが、これからは金融業も視野に入れてキャリア・デザインを作っていこうと思った。どうもありがとうございました。
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