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講義テーマ:外交講座 ODAと評価
1.講義内容の要約
ODAとは政府開発援助のことである。政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力のことである。
1954年10月6日、日本はコロンボプランへの加盟を閣議決定し、これを機に開発途上国への経済協力に取り組むこととなった。今や、日本の協力先は150以上の国や地域に広がり、NGOとの連携による援助を含めて様々な形態で行われており、2004年10月で50周年を迎えた。
この50周年の歩みを5つの時期に分け、そこでの特徴について話して下さった。戦後から1960年代にかけては「援助体制を整備している時期」、1970年代は「援助の拡大をはかった時期」、1980年代は「援助の拡大を継続するとともに質の拡充をはかった時期」、1990年から現在にかけては「援助政策・理念の充実とODA改革の時期」、2003年から現在にかけては「新たな時代への対応の時期」としている。
このODAは国際社会で重要な責務がある。ODAを通じて途上国の発展を手助けし、地球全体の問題解決に努める日本に対して、世界各国から寄せられる期待は大きい。このような期待に積極的にこたえていくことは、国際社会における日本の信頼を培うことにつながる。しかし、2000年を境にODAの予算は減少しており、日本の国際貢献の仕方に対して世界から圧力がかかっているのも現実である。
ODAに対する国民の意識調査によると、全体の6割の人が賛成している。しかし、批判もあるので、どのように国民の理解を得るかは、外務省の働きにかかっているといえる。透明性・効率性のある、国民から理解が得られるODAにしていかなくてはならない。その取り組み内容であるが、透明性の向上については、ODAの課題や国別の援助計画を明確にし、案件の選定から事業の実施、事後評価に至るまでのプロセスの透明性を高めるとともに、ODAに関する情報公開を促進していく。また、効率性の向上については、相手国の実情・真のニーズに則した援助が可能となるよう計画的でかつ弾力的な対応を行うとともに、その実施体制の整備及び執行の効率化を促進する。
この50年間、ODAが貢献してきた成果は、途上国の経済社会発展(特に東アジア)への貢献・途上国からの高い評価・我が国の安全と繁栄確保への貢献・我が国の外交強化への貢献であった。
また、ODAの管理支援と説明責任という目的から評価を行い、評価体制も確立してきた。
2.問題提起及びコメント
ODAは、開発途上国の安定と発展への貢献を通じて、国際社会の平和と安定に重要な役割を果たしている。このことは、国際平和に依拠し、資源・食料を海外に依存する日本にとって、国民の生活を守り自国にとって好ましい国際的環境を構築するなど、国民の利益の増進に貢献している。日本が国際協力を行うことは、国際社会の一員としての責務である。
しかし、恥ずかしながら、この授業を受けるまでODAについて考える機会はなかった。というよりむしろ、我々の莫大な税金をなぜ他国に支援するのかについては疑問があった。先生は、「ODA予算の増加から減少に転換した図」を使い、2000年を境に日本はトップドナーの座を降りてしまったとおっしゃっていた。何となく、1位でないことに不満があるように聞こえた。私は援助とは金額ではないと考える。日本の経済状況が悪化している中で、いつも世界のトップにいなければならない必要はない。世界の中で生きていく以上国際貢献は必要だが、国内で災害などが多発しており、今すぐにでも手を差し伸べてほしい人たちはたくさんいる中で、莫大な予算を投資してもいいものだろうか。生活水準や国民のニーズなど、政権によっても毎年変化していくと考えられるので、その年その年で国民の納得する範囲で予算を立てるべきである。政治家はいかにその数字が妥当なものであるか、わかりやすく説明する義務がある。
また、私も勉強不足であったが、なぜODAの活動をしているのかを、一部の人だけでなく、もっと広く国民に理解してもらうべきである。今回の授業で取り上げたように、ホームページで情報公開していることに甘んじることなく、国民もとへ足を運び、生の声を吸い上げ、日本がなすべきODAの活動を構築していくべきである。
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