- 講 師 :田中良定 氏(昭和43年卒)
- 現職等 :オリヒロ株式会社顧問(前 伊藤忠産機代表取締役社長)
- 題 目 :「変貌するアジアと日本」
- 内 容 :(本講義でのアジアはNIES, ASEAN及び中国・インドを想定した。)
- 人口は世界の半分。15-17世紀の大航海時代を経て、18-19世紀の欧州帝国主義列強の植民地へ。20世紀半ば大日本帝国軍侵攻・第二次世界大戦後、民族独立を獲得。国民国家を独裁的・軍事政権/共産主義国家の形で始動。現在はミヤンマー/中国など除き、ほぼ議会民主制に移行。
- 1980年代以来NIESの経済成長顕著。ASEANも後追いし、インフラ、都市、製造、サービス・ITの発展。中産階層も徐々に形成。この間、日本の経済援助貢献は大。各国、少子高齢化傾向。
- 今やアジアは日本にとり生産基地から製品市場へ。日米欧の先進国とアジア主要国との経済面の差は劇的に縮小。IT通信・ネット・メディアの情報面では両者の差は既にない。官民学、文化・芸能面のアジアと日本の交流は増大。 APEC内の協力、EPA,TPPの交渉進行。
- 中国は搶ャ平の1987年改革開放政策、インドは1991年ラオ政権の新経済政策により高度経済成長進行。両国とも貧富差、多民族、中国は少子、インドはカーストなど課題多し。中国の覇権主義的動きを諸国は警戒。米国も中国・北朝鮮を牽制、アジアの冷戦構造は未終結。
- 日本は1980年代が経済のピーク。1990年バブル崩壊、デフレ、空洞化、低GDP、財政赤字、格差、少子高齢。日本は足踏み状態だが、総合的な固有の底力あり、その力の国民の自覚必要。
- アジアは50-60年前に民族独立、国民国家を歴史上初めて獲得した。しかし「人命の尊重」「人権の確立」「貧困の撲滅」の実現は道遠く、アジアはこれらを重要な共有目標とし、更にはGDP以外の、自由・民主を含めた「総国民幸福度」(GNH)理念の追求も目標となるであろう。
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