ストックウオーキングとは
ストックを使ったウオーキングが市民の間で行われるようになってきました.ストックウオーキングとは言葉のとおり、ストックを使って歩くことです。ストックウオーキングはノルディックウオーキングとも言われており,健康スポーツとしての効果が高い運動です。そもそもストックウオーキングはノルデックスキー選手が夏場のトレーニングに用いていたことなどがきっかけで一般的に広まりました.ストックウオーキングは世界中に広がっており、ハイキングや登山にも用いられています。国民にとってもっとも普及している国はフィンランドで、国民の一割程度の人が経験したことがあります。フィンランド語ではサーバ・カベヴューと言いますが、直訳するとストックウオーキングになります。
ストックウォーキングによる糖尿病改善の一例
グラフには糖尿病患者(71歳男性)のHbA1cの値を示している。平成13・14年の値は食事療法を実施した一年間の平均値を示し、平成15年4月からは運動療法を加えた2ヶ月毎の値が示されている。HbA1cは、通常時の血糖レベルの判定に使われ、血糖値と違い食事の影響を受けないために糖尿病の判定に用いられる信頼性の高い検査である。糖化ヘモグロビンとも呼ばれ、赤血球中に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものである。約2ヶ月間の平均的な血糖状態が分かるので、一般的な検査に用いられている。標準値は4.3〜5.8%の範囲で6.5%以上の値が認められると糖尿病と判定される。
糖尿病患者のHbA1c は平成13年のピーク値が9%を超えて2型糖尿病と診断された。14年に食事療法に取り組み2ヶ月毎の平均は約7%の値、2002年は平均7.1%であった。約2年間、血糖の改善は認められたものの食事の楽しみが制限されるために精神的負担を強いられ食事療法に限界を感じていた。適度な運動も勧められていたが、十分な指導が施されなかったために食事と薬によって血糖値をコントロールしていた。
それから、患者は平成15年3月より食事療法に加えて、適切な指導に基づき運動療法を実施したところ。HbA1cの値は15年4月には6.5%、同年8月は6.1%、10月は5.9%、12月には5.8%まで減少した。食事療法の2年間は7%を平均に増減が繰り返されていたが、ストック歩行や日常の歩行の併用によってHbA1cの値は標準値の値まで劇的に減少した。HbA1cの値の改善を認めるストック歩行を取り入れた成功例である。
動脈硬化の改善例
10週間のストックウォーキングにより動脈硬化指数の低下
研究論文
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大学公開講座プログラム開発から産学官連携への展望 ―「市民ストックウォーキング講座」の事例
― 大学体育 81,13 -18,2004 中川喜直
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中高齢者のストックウォーキングが糖・脂質代謝および健康関連体力に与える影響 ウォーキング研究 7号,67-74,2003 中川喜直
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ストックウオーキングの生理学的研究 臨床スポーツ医学 19,689-694,2002 中川喜直 他
学会発表
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ストックウォ−キングが施設入所高齢者の健康関連体力と血液性状に与える影響 日本ウォーキング学会 2004 中川喜直他
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ストックウォ−キングが施設入所高齢者の筋細胞内・外脂肪量に与える影響 日本運動生理学会 2003 中川喜直他
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ストックウォ−キングが中高齢者の血中成分および健康関連体力に与える影響 日本ウォーキング学会 2003 中川喜直他
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ストックウオーキングによる中高齢者の血中脂質・リポ蛋白プロフィール 北海道スポーツ医科学会学術集会 発表予稿集 2003 中川喜直他
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地域高齢者におけるストックウオーキングプログラム前・後の体力について 北海道体育学会予稿集 2002 中川喜直他
信濃毎日新聞 平成17年8月19日
(朝日新聞 平成15年2月 北海道版別冊)