谷津の穴 ―平成20年2月3日〜24日―



2月3日(日)朝練 エルゴ

Menu AT 15’−15’−10’ AR5’ 
1セット目は20分トライアルの目標アウトプットから約3秒速く。レート指定無し
2セット目はそこから3〜4秒落ちのところで粘る。レート指定無し
3セット目は4’/3’/2’/1’毎にr.24/26/28/30と上げていく。
Point 翌週の20分トライアルへ向けて強度を上げる。1・2セットでステディに強く漕ぎ続け、3セット目でトライアル後半の出し切る局面を意識。


2月10日(日)朝練
Menu 20分漕トライアル


2月17日(日)朝練
Menu UT 45分漕 r.24以下
Point 有酸素能力の開発。大きく強く漕ぎ続ける。フィジカル面の課題、技術的な修正点など自分で感じながら自分で修正していく。


2月23日(土)朝練

Menu サーキットトレーニング 
種目@バーピー
   A腹筋(メディシンボール使用)
   Bハイジャンプ
   C腕立て伏せ
   Dねじり腹筋(プレート使用)
   Eベントオーバーローイング(マシンorバーベル使用)
   Fフォワードランジ(バーベル使用)
   Gレッグレイズ
   H背筋(マシン使用) 以上を各人持ち場を移動して回りながら行っていく。

※各種目1分on×2周×2セット セット間AR3分
Point 筋持久力の開発、動きのスピードの向上。


同日 夕練

Menu フリーウエイト 70%/1RM×15回 or 75%×12回
 
いずれも3セット。セット間レスト1分半〜2分
Point パワー開発、筋力にスピードを負荷。※フィジカルトレーナー武藤さん来樽。フォームチェック、ストレッチや体幹をご指導いただく。


2月24日(日)朝練

Menu AT 15’−10’−10’ AR5’1分半〜2分
1セット目は前回(3日)の記録を更新すること。レート指定無し
2セット目はそこから3〜4秒落ちのところで粘る。レート指定無し
3セット目は4’/3’/2’/1’毎にr.24/26/28/30と上げていく。
Point 翌週の2,000mトライアルに向けて強度を上げる。2セット目をしっかり漕ぎ通す。



・森下 : 筋力的な伸びは見ていてよく分かるし、ワンストロークで高いアウトプットが出せるようになってきたのが何よりトレーニング効果を証明している。技術的には下半身のパワーがハンドルに効率的に伝わるか否かが課題。キャッチ時の上半身の突っ込みを指摘した際にかなり伝わりが良くなった気がする。上体のリカバリー自体大きく取れているので前傾は気持ち抑え気味にして広背筋〜肩〜上腕筋群〜小指に至るラインのストレッチ感を十分意識していればレンジを短くする事無く鋭い蹴り出しにつながるのではないか。あとフィニッシュを腕だけで引いてしまう対策としてはフィニッシュロー〜ハーフスライドローで膝を伸ばしきるのと腕を引くタイミングとをシンクロさせ、加速感が出せるようになったら徐々にスライドを前に長くしていってフルスライドになってもその加速感を維持するというドリルも有効だろう。この際上半身をより速く後ろに飛ばすイメージも付け加えよう。

・川原 : 2月に入ってから確実にエルゴの記録が伸びている。フィジカル面での安定感と同時に技術面での安定感も備わってくればまだまだ伸びる余地はあると思う。自覚している通り肩や腕に頼って漕ぐクセが出るとハンドルの運びが不安定になりキャッチモーションが大きくなる。キャッチでしっかり脚の力で持って来れないうえに肩が上がると重心もあがるからドライブにスピードも乗ってこないし当然重くなる。結果フィニッシュも最後までパワーをかけ続けられずに引き落とし気味になる。だから目に見える課題としては長く真っすぐ漕ぐこと。結局腕や肩に頼ると言うのは本来使うべきところが弱いためにカバーしようとする反応だと思う。ドライブ開始の前に肩を落として前方に出し、広背筋をしっかり伸ばして(反対にみぞおちの辺りにはくぼみを作るような感じ)強く長い収縮を起こす準備をする。引っ張り動作において広背筋と連動するのは上腕二頭筋(力こぶ)なのでまず広背筋が引っ張り始めてその後上腕が連動してハンドルを引っ張る感覚を確かめよう。ドライブ最初の重さをそこで感じ取ることが習慣的に出来れば肩や腕に頼る不自然さが自ずと掴めてくると思われる。腕を伸ばしたキャッチの姿勢でわざと力んで肩を上げてガクっと落としてみても理想的なポジションになるはず。

・植西 : 漕ぎに力強さが付いてきたし、ロングメニューでも漕ぎ通す耐久性がトレーニングで養われている感がある。このように変化が現れ始めたときというのは漕ぎ方そのものもまだ定着せずその日その日で変わりやすい。24日の練習では今までにないくらい前傾が大きく、レンジの長さ以上にドライブ初めの弱さにつながってしまった。膝の不安感を上体でカバーしようとしたとも考えられる。もしこれに加えて膝が前に出過ぎてストレッチャーへの力の溜めが効いてなかったとしたらキャッチから速く漕ぎ出すことはまず無理。女子選手に多い傾向として(商大の3人ともその傾向にあるが)関節の可動域が大きい(いわゆる「体が柔らかい」という状態)ことががかえってわざわいして筋力の素早い発揮を妨げることがある。キャッチ時の足首・膝・上体の前傾それぞれの角度は強く蹴り返そうとすれば自ずと決まってくる。イメージとしては骨格は固定されているが腱や筋肉がスーッと伸ばされている状態。ハンドルの運び、キャッチでの水の掴みはかなり改善されてきたから、あとはその重さをどこでどう支えて漕ぎ始めたらもっと強く漕げるかが分かればもっとスコアにも反映されるだろう。

・斉藤 : 練習の量も質もしっかり追い込めていると思われる。その効果も記録にしっかり反映されていると思うので心配は無い。斉藤に関しては一点、レースが近づいてハイレートになった時にどのように漕ぐかという事を考えながらロングを漕ごう、という事に尽きる。阻害要因としてはフィニッシュでバックが大きくなってリカバリーする前にシートが動き出してしまうこと。一見高いレートに対応出来そうな気がするが結局次のドライブの姿勢作りが後回しになってフォワードトップで止まり、上手く奥の水が掴めない。キャッチの負荷が軽くなるから脚の押しより上体の開きが先行してまたバックが大きくなる、が加速が伴わない為にレートを保とうとした時にまたシートの出が早くなる…という循環に陥ってしまう。まず武藤さんに教えて頂いた骨盤周りのストレッチを参考にしてスムーズに骨盤をシート上に戻せるよう準備する。骨盤周り(下背部)の可動域の大きくすることが急務。今も大きく漕げてはいるがそれは上背部の柔軟性と腕の長さによるところが大きいと自分は見ている。それだと重心が高くなり自然とフォワード全体が固い動きになりいつの間にかリラックス出来ないリズムになる(17日のr.24のロングがそんな漕ぎだった)。ハーフスライドまでに骨盤からの前傾でリラックスしたキャッチの姿勢を作りそのままロスの無い素早いドライブへの転換をまず心がけよう。ポーズローやレッグローなどのドリルも有効だろう。

・千葉 : 持久力という土台はしっかり出来ていると思う。まだ途中でアウトプットが安定しない場面はあるが、筋力面が付いてくればこれから十分カバーできると思う。落ちるという部分に関しては技術的な側面もあるだろう。以前の課題だったリカバリー前のシートの出についてはかなり改善されているし、その影響で奥にハンドルをもっていけるようにはなった。ドライブ開始のポジションとしては申し分ないが、疲れてきた時にキャッチでの引っかかりが悪くなる。伸びきったところにハンドルを置くような感じで脚蹴りを伝え、水の重さを感じながら漕ごう。その時ハンドルを引っ張るのでなくてストレッチャー(=エルゴ)を前に押し出すイメージで。ハンドルを強く握り過ぎてないかどうかもチェックする。ハンドルとストレッチャーには同じプレッシャーがかかっていなければならない。もしかすると脚力が強くてそれに体幹などの連結箇所がついていかない為にパワーを逃がしている、と言う事も考えられる。体全体のつながりを感じることも大事。奥から掴めるようになったら当然その分重くなるが、その重さから逃げずに蹴り返し続ける無意識のチャレンジを忘れないように。

・小黒 : いわゆる強いバネを持っている。万全ではないだろうからあまり多くは求められないがこれが続けられれば強力な武器になる。小黒についても今どうこうより水上でレースレートに近づいてきた場合にどう漕ぐかが課題。まずクルーボートに乗ったとしてシートの動きをコントロール出来るかどうか。すぐ蹴りに行かないと脚が辛いとのことだったが、周りのメンバーとの協調した動きを求められる際に難しいものがある。ドライブに関して言えば初めに脚でなく上半身、特に腕が反応してハンドルを引っ張っているのが気になる。エルゴはハンドルを引っ張ってホイールを回すものだからまだいいが水上においてハンドル(=オール)はテコの道具として固定しておいてまずストレッチャーに力を加えなければならない。そこで生まれたパワーをハンドルにまでつたえるからボートが動くという事を忘れないように(だから上手な人のドライブ前半は横から見るとハンドルとシートが同じスピード、同じ距離のままでバウ方向に動く)。またニースダウンがミドルからフィニッシュ直前においてかなり強さを発揮するが、それを進行方向に水平に真っすぐ伝えること。疲れてくると少しハンドルを落とし気味になるので脚蹴りのベクトルを下に向かわせずいかに水平に保つかをイメージしていこう。

・川崎 : 課題にしていた中盤での粘りも克服しつつあるように思う。メニュー前半から恐れずに攻めていく気力の面も失ってないので、お互いが合わさった強さを是非身に付けてもらいたい。技術的な面でも漕ぎ方については悪い癖が無い基本に忠実なローイングだと思う。特にフィニッシュ周りのスムーズさはハイレートにも対応出来る下地と言える。気をつけるべきは漕ぎのリズム。何度も言うようだがシートはじっくり長く動かしてその分キャッチは素早く。アウトプットが落ちる時はたいていその逆になっていて、シートが速くなってその分キャッチ前に漕ぎが止まってしまう。単純に体力的に落ちるのではないと思う。キャッチで休まないという意識を強く持つことでシートを急いでる場合じゃないと感覚的に理解する事が理想である。どんなレートでもシートがレール上をコロコロと転がる音が聞こえるくらいのゆとりを持つ事が大事。またレートを保とうとしてハンズの速さを意識するのかメニュー後半フィニッシュ方向のレンジが削れてしまっていた。押せるところまでしっかり押した上でフォワードに移らないとレートは上がっても艇速が上がらないという現象につながるので、スタート練習でもない限りは自分の最大レンジ、最大加速を体に染み込ませることが今は重要。

・熊谷 : トレーニングの面であまり多くを求められないとは思うが、自重でもいいのでやはり腹筋や背筋でしっかり体を固める必要があると思う。漕ぎの面でも上体がキャッチで突っ込まないようにとかリカバリーしてからスライドとか指摘されてきたが、案外体幹周りの筋力不足が一因かも知れない。フィニッシュ手首を巻き込むクセも実はフィニッシュで上体のふんばりが効かない代わりにちょっとでも長く引こうという反応なのかも知れない。とにかく漕ぎの面からは体幹から力が抜けるような無理な前傾や後傾を取らないように、くらいしか言えないので、後は自分のケア次第。もし不安無く思い切り漕げるのであれば、あまりレートは気にせずに端々のスムーズさ、力強さを意識し、せっかくのレンジとパワーを阻害しないように。回転に頼らずワンストロークの質の高さに執着して漕ぎ通せば後は中盤以降の粘りでいい記録が狙えると思う。

・西村 : 復調の兆しが見えてきたようでまずは良かった。ずっと指摘されてきたミドル〜フィニッシュのニースダウンの弱さも17日の練習では克服出来ていたように思う。漕ぎ方として上体で漕ぐ比率が大きい。これも脚筋力を背筋力でカバーしようとするせいにも思えるので、レッグドライブのスピードアップに伴ってもう少し脚を使った漕ぎ方に近づけていった方がいいと思う。キャッチにおいては上背部から肩、腕にかけて大きく前に伸びる感覚は黙っていても出来ているのでもう少し意識をヘソの辺りにおいてフォワードする。それによって上体の伸び過ぎを抑え、逆に重心を低くして体幹周りからパワーを発揮するイメージを持つ。キャッチだけでなくフィニッシュまで脚を使う。メニュー後半完全に上体に頼ったフィニッシュになって十分にハンドルを加速出来ていなかった。最後まで脚で押してハンドルに体重を乗せ続けられるかも今後の重要なテーマと考えて欲しい。