谷津の穴 ―平成18年11月26日(日)・12月3日(日)―


11月26日(日)エルゴ
Menu : 30’LPP r.18〜22
Point : 前週同様キャッチからフィニッシュまで緩み無く押し続ける。距離を意識しながら力強く漕ぐ。

・高橋(3) : 7,533m (1’59”5) r.21
脚の痛みをかばいつつもよく完漕したと思う。前週同様にハンズ〜リカバリーまではスムーズにワンモーションで行って、スライド自体はゆったり。その間にキャッチの姿勢をしっかり決めてドライブに反転する際にもっと素早く無駄なく水を掴むことをテーマとしていこう。アウトプットが上がると自然とスライドも上がって休めないリズムになりがちだから、まずフィニッシュまで脚の力を使って加速させ、どんなレートでもメリハリを意識しよう。

・熊木(3) : 7,258m (2’04”0) r.21
体は大きくフルレンジで動いているものの、ドライブ前半で骨盤の前傾を保ちながら支える時間が短くなっている。ドライブは速いけれどパワーのつながりと言うか増幅が欲しい。ポイントは前週と同じ。シーズン中に比べて筋トレの効果かフィニッシュで肩甲骨〜肘とつながる太い筋群を活用出来るようになっているので、ドライブ前半特に脚から始まるパワーを長く効かせてしっかり加速につなげよう。レッグローが有効と思われる。

・西村(1) : 7,256m (2’04”0) r.21
フォームのうえではキャッチ時の突っ込み、フィニッシュ時の上体の流れはかなり修正されていた。あとは自分の感覚で蹴った分ハンドルが動くかどうか、ロスは無いかなど確かめながら漕ぐことが重要。疲れてくると余計な動きが多くなる傾向があるが、かえってエネルギーの浪費になる。同じフォームで同じ動きを繰り返すことでエネルギーをより艇を進める為だけに使えるというメリットを体感出来るようになろう。隣のライバルを意識することは競技の本質として自然なことなので、そんな中でも乱れないローイング技術をこれから身に付けていこう。

・川原(1) : 6,270m (2’23”5) r.22
反省でも述べていたように上半身で漕いでいる感はある。特に上体の開きや腕の力でハンドルを引っ張ろうとするのでなくハンドルは一番奥に引っ掛けておいて逆にエルゴを前に押し返すように下半身でパワーを発揮する。エルゴは前に行かないので体が後ろに戻される。その結果ハンドルも付いてくるという感じがいい。ハンドルが付いてくる為にはまず体幹がしっかり固定されていること。この点は問題ない。あとは肩から腕全体をリラックスさせて前方向にしっかり伸ばしている事。そして蹴り返した時に広背筋が伸ばされて艇の重さを支えている事。その時広背筋は始めからハンドルを引っ張ろうとして働くのではなくむしろ脚のパワーを伝える為に伸びた状態のまま力を発揮している事。

・森下(1) : 6,489m (2’18”7) r.22
広背筋を伸ばすメリットは体感してくれたように思う。力の伝わりにロスが少なくなってアウトプットが伸びた。今度はストレッチャーに力を徐々に溜めていくイメージを作ろう。キャッチ時に脛が垂直よりも前に行くと反転の時に止まってしまうし、脛の細い筋群の稼動割合が増えるので力強さに欠ける。脛はなるべく垂直までで止めて、その分臀筋(尻)、ハムストリングスをフォワードトップに近づくにつれてバネが伸ばされていくように伸ばして力を溜める。キャッチ時にそのバネが解き放たれるように一気に収縮させてドライブを始める。フォワード中から脚は後ろに跳ね返ることを意識しながら前に行って逆にハンドルは前に残すようなイメージ。エネルギーを溜めて一気に蹴るという感じが分かれば更に強いストロークを生み出せる。

・栗城(1) : 7,499m (2’00”0) r.22
体重の乗せと力強さが噛み合った時のドライブは非常にいい。フィニッシュで引き落とさないことをまず考えよう。ストレッチャーをドライブの最後の瞬間までしっかり押してその脚の踏ん張りを利用して逆にハンドルを引ききる。肘を後ろに水平に飛ばすこと。水上練習の時にポイントにあげたベルトコンベアのハンドルの軌跡を思い出そう。その端の丸さを少しだけフィニッシュ回りに加えると適切な高さでフィニッシュするようになると思う。出来るだけ懐深くまで押し続けて加速させるという強い気持ちを忘れないように。またキャッチ時に上体が突っ込むようだが、まずは次のドライブの姿勢をハーフスライドまでに固めて安定させること。そしてキャッチした際に骨盤を介して上半身と下半身のつながりを意識すること。それが出来ないとパワーがある分故障につながりやすいので注意が必要。

・神田(1) : 7,142m (2’06”0) r.22
サムレスグリップを取り入れて漕ぎの重心が低くなった分アウトプットが伸びていた。これといっておかしな癖が無く、修正したポイントがすぐ数値に表れる。ワンストロークの力強さ、特にキャッチ時のストレッチャーを押し返す初速がこれからもっと付いてくれば力を入れるべきところと抜くべきところ、それを区別するメリットなどがより体感しやすくなると思われる。


12月3日(日)朝 エルゴ 20分漕計測
Point : この3週間で持久力系の能力がどのくらい伸びているか試してみる。レートはフリーだがいつも指摘されている技術的なポイントを無視せず、出来るだけイーブンペースに漕ぎ通す。
(記録はHPを参照のこと)

・堂用(1) : ドライブ前半は長いリーチを自然に生かして効率的にパワーを伝えている。ドライブ後半30%くらいで上半身が脚とのつながりを無くして腕だけのフィニッシュになっている。その為ハンドルを引き落としながらフィニッシュし、直線的な加速があと一歩というところで断ち切られているのがもったいない。とはいえ腰をかばっている人特有の漕ぎ方ではある。いい漕ぎ方なら腰を傷めないといわれるが既に痛くなっているものに対して当てはまるかどうかは分からない(症状も人それぞれなので)。一つ言える事は腰の付け根を丸めた状態で座っているとその周辺の筋肉に常に負担がかかってしまうし、その状態で漕ぐと更に痛めてしまうだろうということ。

・木村(1) : ノーワークからライトパドル、ローピッチまで漕ぎにあらが出ず、普通に水中強度だけが上がったという感じが良かった。どんなメニューでも広背筋を十分伸長させることと、リカバリーが大きく取れないということはそれだけバックが大きくなりやすい為、全力漕の時に必要以上に重心が後ろに流れてまっすぐ加速させられない事も考えられるのでキャッチで強く艇を動かすという事に集中してみよう。

・生出(1) : 全力漕になると明らかに尻逃げになる。上半身をもっとリラックスさせて余計な突っ込みを無くし、ゆっくりでもいいから脚でストレッチャーを押した分ハンドルにその力が伝わるかどうかを確認しよう。その伝わりを仲介するのが体幹なのでキャッチの瞬間のつながりを大事に感じよう。尻逃げを放置すると故障の原因になる。

・熊木(3) : レッグローを活用してドライブ前半の下半身でパワーを生んで上半身で伝える感覚を取り戻そう。リカバリーの角度など問題ではないのでとにかく万全の状態でキャッチから強く艇速を作る事。

・川原(1) : キャッチの時のハンドルが上体と一緒に持ち上がる。骨盤回りはがっちりロックさせるように固定して肩回りの脱力を意識、エントリーモーションを肩から先だけ、もっと言うと手の甲だけがハンド一つ分上がるくらいの感覚で行う。横から見て姿勢は変わらないけど脇の角度が広がるような感じで。そうする事で強く漕ぎながらもパワーをしっかり伝えられると思う。

・森下(1) : 広背筋の使い方は徐々に身に付きつつあると思う。森下もキャッチ時のハンドルの上下動が大きくなるのでそこに気をつけるのと、30分漕と比べて水中飛ばすことを意識したせいかストレッチャーにパワーを溜めるというポイントが自然な反応として出ていたので、やはり強く漕いでいる時の感覚を大事にして欲しい。

・西村(1) : キャッチからの脚の使いがバネの強さを感じさせる。なのでキャッチの姿勢を決めて伝わりを良くすることが重要。疲れると顕著に漕ぎ方に現われるので長く強く漕ぐ中で技術的なポイントを追求していこう。

・神田(1) : 確かに内容としてはアウトプットの変動も大きかったが漕ぎ自体それほど大きく乱れたわけではないし、基本に忠実に漕ごうという気持ちは伝わっていた。筋力アップと肩の力の抜けたメリハリのある漕ぎはリンクすると思われるので、日々のトレーニング効果がいい意味で「楽に」強い水中につながるように考えて漕いでいこう。

・栗城(1) : 端々のスムーズさは先週も言った通り課題。細かいことだがフォワードトップで肩が前に突っ込むために蹴った瞬間の体のつながりが悪くなるのと、フィニッシュで手首を巻き込むようにハンドルを引き上げていることがフィニッシュでのリズムを止めてしまうのかも知れない。でも終始長く強く漕ごうという意気込みは立派なのでその大きな柱は忘れないようにしよう。

・高橋(3) : 課題だったキャッチでのスムーズな蹴り返しがこの日は終始安定して出来ていた。水中を強調するときでもキャッチから強くというポイントが一番はまっているように感じた。フィニッシュでのアンバランスな引き上げが加速を逆に鈍らせてしまうのは、水上に出た時に必ず悪影響なので加速の頂点でスムーズにハンズアウェイするべき。その分フィニッシュ回りから落ち着いたフォワードにつながると思われる。

・岸山(3) : ぶら下がりでしっかりみぞおちのふくみが保たれていたし、前半はフィニッシュでの脚の押し切りも生かされていた。見た目楽そうに漕いでいたわりにアウトプットが52”〜54”を指しており、理想的な漕ぎだったと言える。