大津先生 です。


筑波大学 第三学群 社会工学類 都市計画専攻卒業
筑波大学大学院 社会工学研究科 都市・地域計画学専攻修了、博士(社会工学)
専門:都市空間解析学


 



社会計画を研究することは、どのような意味がありますか?

この大学に来てから3年が経つのだけど社会計画を教えることを前から用意していました。社会計画の勉強とは、システムをどのように使うか、どのように応用できるかということなのです。会社メーカーとか生産システムとか、周りが生活している経済システムとか、何でも良いのですが目に見えない大きなシステムの最適化をする、という勉強です。
僕は都市計画を研究しているんですけれども、学生さんにオペレーションズリサーチとか物理的な手法を使って都市を解明していくというような技術を身につけてもらいたいと考えています。具体的に言うと例えば、どうしてバス料金は200円なのだろうか、もう少し安くできないのだろうかと考えるだけではなくて、自分だったらこうするということを提案していくようになってもらいたいのです。この前には僕が、6つくらい題材を出して自分で対象の問題点を探してきてもらったのです。その問題点に対する文句は誰でも言えるけれども、自分のアイディアを皆に発表したり、他の様々な学生の意見を聞くことによって視野が広がったり、思考力もついてくるのです。そして34年になったらゼミ活動をしますよね。先生は授業の方式もゼミも同じような感じでみなが活躍できるようにしていますが、どのようなことをしているかというと、広い意味で学校で勉強したことに関して実際に街頭に立って歩いている人にアンケートをとったり、カチカチ人数を測ったりして学外の人に協力してもらったりして外で何かを見つけてきてもらうのです。他にも札幌駅の問題点を探してきてもらう、とかですね。普段はあまり考えないことに目を向け、学外に課題を求めていって社会に発信している授業と思っていただくとうれしいなと思っています。
社会情報学科というのは敬遠されていますけれども、たくさんのデーターを早く処理していくことや、道具として使いこなすことも社会情報学科で教わる授業の目的のひとつです。僕個人は、パソコンや数学は勉強の対象ではなく手段だと思えばよいのです。それらを使いこなせるようになるまでは、「習うより慣れろ」ということですね。こうしたいと思えば何でもできるのです。最初はみんなそんなことできないですというのですがそれを授業でやっていくとできるようになっていきます。もし野球を知らないで素振りの練習をしていてもどんな意味があるのか分かりませんが、試合をすることによってどうしてこの素振り練習が必要なのかということを分かるようになるということと同じなのです。
社会情報学科にはいろんな人がいて面白いのですよ!他の学科は商・法・経済と決まっているけれども、情報学科の人たちって、何をしているのかよく分からないでしょう?
一見何も関わりがないようで、深いところでつながっているのです。どの学科に入るかということは学生によって重要なのですが、僕の分野は都市計画で、2007年問題や、法学科の老人に優しい街づくり、などもデーターとして客観的に見ることが重要ですからどの分野とも広く見ると関係があるのです。僕の授業やゼミには、どの学科の人が来てくれてもよいと思っています。この大学はそのようなことでガチガチに固まっていないのでどのゼミや授業も受けることができる美味しい大学なのです。もっと言うと信頼できる先生を見つけて、話すことも可能です。僕はウェルカムです!



学科選びの決め手は何ですか?


自分が好きなことは自分でどうせ勉強するから、あえて苦手な学科に入るという裏技もありますよ。積極的な学生さんというのは何でもできてしまうのです。先生たちは誰でもやる気のある学生が好きなのですから。大学の先生というとちょっとなとおもっていたなと確かに思い出すこともできますが、関わってみるとなかなか面白いですよ。



ゼミとは一体どのようなことをしていますか?


ゼミ合宿で大津・江頭・沼沢・道野の4ゼミはつながっています。夏には60人ぐらいで泊りがけで修学旅行のように出かけたりし、学科関係なく仲良くしています。このように先生一人ひとりも自由なのです。そういう自由な先生の輪の中に学生さんも入ってきて、一緒に何か考えていけるかということは重要なことですね。学科も大切ですが先生のことを見ながら考えたらいいと思います。今12年のうちは職業に関して不安に思う必要はないですよ。それよりもむしろ、どんな職種・進路・留学行くのか?ということを考えたらいいですね。でもどこになっても求められる力というのがあると思うので、そのようなものを身につけていったいいと思います。新しく提案するということはまず求められるでしょうね。あとは、スーパー大学生になるということがいいですよね。バイトもサークルも恋愛も自分の目標も作って欲張っていいと思います。社会人になってしまうと、危険を犯せなくなってしまう。



先生はどのような大学生でしたか?


先生も学生のときは・・・長くなってしまうよ!サークルは入っていなかったんだけれど、学費を自分で稼いでいました。でも家庭教師はしませんでした。僕だと割り切れない性格だから生徒としてはウザイじゃない?だからビデオのソフトを作るといったアルバイトに行ったのは良い経験になりました。最初は結婚式をしました。カメラ撮影をするのは結構お金がいいのです。バイトでもプロ扱いでした。練習もするし、結婚式って土日しかしないでしょう?だから授業には影響がなかったんだ!それにたまに土日でも仏滅の日は友達と遊びに行きました。でもその会社は結婚式の撮影は本業ではなくて、社会教育・・・が本業で、社長は地域の歴史を調べるというのが好きな人でした。たまたま近くで縄文土器が出土して、博物館が建てられることになり、そこの館内で上映するビデオ全てを作るという、何千万円も掛かるような仕事を手伝うチャンスがありました。取材に行ったりロケに入ったり助手というのを3年ぐらいやっていました。さきほど授業に穴は空けなかったと言いましたが、1週間くらいもロケに行ったこともありました。車に機材なんかを乗っけて行って、縄文の人は鹿を食べていました、というと、さあ鹿のいるところに行ってみましょう!という感じでした。転々と車でまわりました。縄文を研究している考古学の人から考えると、私の専門の都市計画なんて冗談ではない、と方向が対極でしたが、そういうことも勉強になりました。ロケ終了後の34日はろくに寝ないで猛勉強しました。そんなわけで自分なりにはちょっとスーパーでした!夕方から深夜まで焼肉屋でバイトをしたこともありました。お墓を作るアルバイトもしました。もともとは芸術系の工業デザインの大学に行きたかったのです。毎日フル回転しながら学校の勉強も頑張っていましたよ。忙しくなっていくと、バイトの経験や知識も授業で使いました。
 都市再生機構がやっている街づくり事業を記録するようなバイトもしていました。これは現在自分で研究していることにつながっています。そういうところから偉い人に自分の名刺を渡しておいてもらったりもして、1回良い方向に回ると、どんどんよくなっていくのです。
要領がよくなっていくのです。要領が良いというと嫌な感じがしますが、いっぱい失敗して、こういうのはこうしたらいいとか、自分の限界を知って要領が良くなるというのは大切です。でも、忙しくしていることに満足してしまうという危険もあるもですが、あなたたちは今そんなこと言わないで思う存分挑戦するといい。



様々な仕事の経験をした先生がなぜこの分野で活躍しているのですか?


そのきっかけは一人の先生とのちょっとした出会いだったのです。1年のときには本当は履修できない先生の授業だったのですが、色々な分野の都市解析で、その先生の授業は面白かった。聞いているだけ聞いていました。その先生の授業がどのようなものだったのかは僕がやっている授業を見てみてください。本当に影響されて、この分野に入りました。きっとあなた方も、毎日きっかけがあるのだけれども、それをつかめるかどうかということなのです。でも見逃しているというのを悩まないでね、ナンセンスでしょう?私たちはさかのぼることしかできないのですから。その後あれが良い経験だったかそうじゃないかは、自分の考え方や行動が決めるのですから。
めぐり巡って、縁も含めてすべて関係があると思います。そういう意味で人と関係を持つというのが大学に来た意味といっても良いのです。でも人間そんなにうまくいかなくて失敗してしまっても、そういう振幅の大きい人というのも先が楽しみなものです。あなたたちもそのとき自分に与えられている今しかない条件とか環境のなかで精一杯頑張ってください。