講義テーマ:「なぜ私たちは東京に就職したのか?
                学生時代の私、今の私」


講義内容の要約/問題提起及びコメント

@序章
 私は第11回の、私たちの年代に非常に近い方々のお話に、非常に感銘を受けました。あの3名の中には、私が一時期お世話になった先輩もおり、大学時代を有意義に過ごした先輩の一人であるように感じます。
 彼らが話してくださった就職についての話にも非常に興味はありましたが、最も心に残っているのは、「大学生時代、自分が満足のいく過ごし方をし、それが今の自分に役立っている」というものです。それぞれ話し方は違うものの、それが自分の核であり、自信であると言えるようなものでした。それが「自分のしたいことの原点」でもあり、「自分の目標を見つけ出すための手段」でもあると感じたからです。
 私は現在、地域企業の方々と経営戦略に取り組むと言うプロジェクトを行っています。そこで学べることは、単に枠組みの中で決まったことではなく、自分で「より良く」するためにはどうしたら良いかを考え、そのために必要な知識を自分で学び、他の人に助けられながらも最後までやりとおし責任を果たす、という普通の学生から一歩飛び抜ける姿勢です。
 今回発表された方々は、それぞれ自分で企画を立ち上げたり、仲間を集めてマネジメントしたり、そのような経験が生きている方々ではなかったでしょうか。
 私は3年生ということでこれから就職活動も控えていますが、それと同時にプロジェクトに対する姿勢も今までと同じか、それともより高いレベルに自分を持っていくために変わるのか、組織の中で求められています。そしてそれが、これからの就職活動で何を目指す人間になるのか、の一つの基準になるとも感じています。
 そのようなことを考えるきっかけになってくれた今回の講座は、自分のために非常に良かったと感じ、レポート内容にも選ばせていただきました。今だけではなく、将来の自分に向けて、書いておきたいと思います。

A私の考える就職活動と東京への道筋
 現在私も始めている就職活動ですが、本当に自分の将来をデザインして就職活動に望む人は、北海道内にどのくらいいるでしょうか?「入ったところでとりあえず頑張る」ということも、もちろん考えられる選択肢ではあります。ただ、現在売り手市場と言われて久しく、確かに場所を選ばなければ就職はできる、という状況ですが、無数にある就職先の中から「どれでもいい」という判断を下せる人はそんなに多くないはずです。それぞれなんとなく希望として、「大会社がいいな」「SEはいやだな」などという判断基準を持っているはずです。
 ただ、それを感覚として持っている人はいても、結局自分の将来をデザインする、という視点からはほど遠い場合も多いことに、気づいている人は多くありません。
 今回発表してくれた方々は、それぞれの活動の中で「自分とは何か」「自分は将来を何をやっていきたいのか」「自分が目指し続ける目標は何か」を探し出せた人たちであると思います。それがそのまま生き方にも繋がり、生き生きと働ける人間になれるのだ、と私は思います。
 そのために、彼らが選んだ「東京」も、大事なことではないでしょうか。中村さんの、「東京という、人材や技術が結集しているところをまず見ることが必要」、という言葉でも表されていますが、私は、知識は「時間を超える」事と「空間を超える」事が必要だと思っているのです。
 「時間を超える」とは、このように先輩方の話を「自分が経験する前に」聞いておけることであったり、過去の人が書いた本を、現在読むことでもあります。それは知識としては深さを持たせるために必要であると私は考えます。だからこそ、このような講座の機会を持つことは意味があるのです。
 もう一つの「空間を超える」とは、知識の幅を増やす部分にあたります。北海道にいる私たちは、「日本全体のスタンダード」を知らなくてもいいのだろうか。同じように、自分は日本にいるからといって、「世界のスタンダード」を知らなくてもいいのだろうか。私は、アメリカの論文が日本語に翻訳されているのは、「世界のスタンダード」を知っている人たちからの、日本人への一つのメッセージではないかと考えています。そして、現地のスタンダードを知るためには、行かなければわからないこと、もたくさんあると私は感じています。だからこそ、自分のステップアップのためには自分の空間の「外」を目指すことが必要だと感じているのです。
 このような理由から、 私は彼ら3人の選んだ「東京」の道を、自分も目指していきたいと思っています。もちろん私も、北海道が好きで、今の北海道の状況をなんとかしたい、とも思っています。ただ、今の自分で北海道に対して影響を与えられる力はもちろんありません。だからこそ、「外」で学ぶ必要性があるのではないかと思うのです。ただ北海道に残ることが、この地域に対する好意の表し方ではないと、もっと多くの同期や後輩が感じてくれたら、と思っています。

Bおわりに
 私が感じる東京のイメージは、憧れでもなければ羨望でもありません。むしろ、私は北海道が好きで、できることならば一生道民で居続けたいと言う思いもありました。ですが、現在行っているプロジェクトで北海道の地域企業から汲み取った思いは、様々な問題の積み重ねで身動きができなくなったり、時代の流れについていけなかったりする地域企業の苦しみでした。私が感じた思いをなんとかするためにも、より「成功している現場を見なければならない」と思っています。それが東京であるとは限りませんが、より中心地で活躍している、「企業のスタンダード」を見なければ、私はこれ以上、プロジェクトに一緒に取り組んでくれた企業の方に何もできないのかもしれません。
 より多くの知識を吸収し、より満足のいくアウトプットができるよう、これからの就職活動も頑張ってきたいと思います。壇上で目を輝かせて自分の現在について報告できる、あの先輩方のように、5年後の自分がなっていたいと思っています。



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