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講義テーマ:「国際交流の現場及び概要」
2007067 大須田千晶
1.講義内容の要約
外務省広報文化交流の場で働く松永文夫氏を講師として迎え、氏の経験をもとに国際文化交流の事業や国際交流基金の立場、日本文化の海外での様子、国際文化交流の近況について話していただいた。以下、4つの内容を順にまとめていく。
第1に、松永氏が手がけた事業は主に4つである。@日本文化紹介。国際交流基金と現地の大使館・総領事館などが協力し、日本映画を世界各地で上映した。A美術交流。海外で展覧会を開催し、企画から美術作品の借り受け・運送・運営までを行った。B日本語教育。海外の日本語教育支援で、講座・講師への支援や教材の援助、奨励事業、また日本国内での研修施設の確保などがそれにあたる。C知的交流。文化における特定の課題に対して日本と他国が協力的に活動するという、言い換えれば文化の交流を行った。
第2に、国際交流基金の立場である。国際交流事業を行う機関は中央省庁、地方自治体、財団、そして大学などにも及ぶが、外国との相互理解や友好親善を目的とする外務省は、国際協力機構と国際交流基金の2つの機関を持っている。国際交流基金は1972年に発足した独立行政法人であり、国際相互理解を深めるため、世界に貢献するために活動している。また同様の機関はイギリス、ドイツ、フランスなどにも設置されている。
第3に、日本文化の海外での様子として2国が例に挙げられた。イタリアのローマにある日本文化会館では展覧会や日本語講座などが行われ、日本庭園には多くの人が訪れる。更に、現地で起こっている日本関連の事業を知ることができたり、大学で日本語教育や日本研究がすすめられるなど、イタリアには日本文化がきちんと伝えられている。また、イギリスでは事務所のみが設置されており、日本文化に興味がある現地の各組織が個々で事業を行っているが、イタリアと違って現地の日本の事業を知ることはできない。
第4に、国際文化交流の近況について、いくつかのキーワードが表れてきている。政府間でなく人々の間に働きかける外交「パブリック・ディプロマシー」や、国の力ではなく魅力によって他国とのつながりができるという「ソフトパワー論」などは、国際文化交流の重要性が見直され始めたことを示している。つまり、外国からの日本文化に対する関心は低くないということである。その象徴として「ジャパンクール」という言葉があり、新しい形の日本文化による交流が盛んになっている。
2.問題提起及びコメント
国同士が文化交流を行うことは、国際化がすすんできた今ではとても重要だと思う。今回の講義では、日本の文化が具体的にどのような活動を通して広められているのかを知ることができた。日本が更なる国際化を望んでいるのだろうということは感じられたが、一般的な日本人は他国の文化を良く知らないと思われるので、発信はしていても交流にはあまりつながっていないような気がする。また、古美術や古典芸能を昔のものとして理解しようとせず、映画やアニメや漫画といった一部のものしか認識できていない日本人も多いのではないだろうか。外国人のほうが日本文化を理解していることが多いという問題に対して何らかの対応策が必要だろうが、強制的に教え込むものでもないので難しいと思う。
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