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1.講義内容の要約
「五分前の精神」、「理由はいつも三つ挙げる」、「人を大切にして人を動かす」
今回の講師である馬場氏はこのように様々な標語を持っている。これは40年間のサラリーマン生活の経験が蓄積された結果だ。仕事上でのさまざまな失敗。失敗が馬場氏自身を形作ってきたといってもよいだろう。その中には窓口で本来は12万を渡すところを間違って120万渡してしまうといったような大きな失敗も含まれる。失敗を重ねるごとに馬場氏は反省し、改善するよう努力してきた。
準備もなしに企業に飛び込んで営業することを「野良犬外交」という。この場合、まずその営業は成功しない。そしてビジネスマナーもとても重要だ。時々取締役への連絡を受け付けも通さずに直接かけてしまったり、ファックスやEメールで済ませようとしてしまったりする者も多い。ビジネスは人と人とのかかわり合いである。社員は顧客一人一人のことを一番に考えるように心がけなければならない。また、そのためには上司の役割も重要である。馬場氏は若いときに上司から受けたイヤな仕打ちと同じことを自分が将来出世したときに自分の部下にすることがないよう、常にメモにとっていたのだという。そしてメモに書いてあることを部下にやらないよう心がけている。
上司は常に社員の声に耳を傾けるように心がけるべきである。そして時代の流れにも柔軟に対応し、適応する努力を怠ってはならない。それがビジネス界を生き抜く知恵なのだと馬場氏は語った。
「今度」はやってこない
2.問題提起及びコメント等
「おはようございます。こちらは山本君のお電話ですか」
その電話についさっきまで1講目の授業を受けて朦朧としていた僕の頭はすっかり覚めてしまった。その声の主は紛れもなく前日のエバーグリーンで講義を行われた馬場氏その人であったからだ。札幌から東京までの長旅の疲れをまったく感じさせない、はきはきとした口調だった。
話はエバーグリーンの講義が終わった時まで遡る。僕は馬場氏のほどのインパクトをもつ人間を今までに見たことがないと思う。少なくとも200人もの前で自分のプライベートの携帯番号を公開するような講師を僕は知らない。講義が終わった後、今回の講義に対する感謝を馬場氏に直接伝えた。そこで僕の名刺を差し出したのだった。話すと長くなるのでここでは省略するが、簡単に言うと僕はあるプロジェクトに関わっていてそのために名刺を持っているのだ。直接話してみるといっそう彼は魅力的な人間だと思った。僕らとはかなり歳が離れているにも関わらず、僕らに合わせてくれる寛容さを彼から感じたためだ。
馬場氏の電話を受けたとき、彼は主に三つのことについて僕に言った。まず一つ目は今回の講義の感想はどうであったかということ。二つ目は僕の今従事しているプロジェクトについての質問。そして三つ目は自分の後輩である小樽商科大学の学生には大きな期待を持っていて、そのために出来る限り協力したいということだ。つい前日行った講義の感想を電話で直接学生に求める。たとえ暇があったとしても、これを実際に実行できる人は決して多くはないと思う。たくさんの人が別れ際に「また今度」という言葉を使う。馬場氏が講義でおっしゃっていたように「今度」はほとんどの場合やってくることはない。僕も同じように結局は社交辞令に過ぎないのだと思っていた。だからこそ、今回の馬場氏の電話にはとても感銘をうけた。それに加えて馬場氏はもし僕が五人以上集めて、場所、日時を確保、設定すれば、無償で札幌に来て講義してくださるという。僕は今そのために動いている。せっかくのチャンスを「今度」という形で終わらせないために。
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