講義テーマ:一杯のコーヒーから広がる豊かな日々のために

1.講義内容の要約

 今回の講師、狩野知代さんは、GLAUBELLの代表として、コーヒー豆焙煎業、コーヒー講座を通して、暮らしの中でコーヒーを楽しむ提案をしている。
 狩野さんは、コーヒーを仕事にするまでの間、一般企業で働いていたが、期待していた程のキャリアアップができず、満足した仕事ができなかった。そこで、思い切って退社し、同じ社宅に住む他の女性と、講座をコーディネートする、という仕事を始めた。その中でコーヒーと出会い、研究するようになった。そして、コーヒーを通じた仕事をしたい、と考えるようになった。
 イメージを現実化する際に大切なこととして、狩野さんは、出会い・出来事を強調した。大切なのは、人間関係なのだ。また、その仕事を自分が好きであること、さらには資本も欠かせない、と述べた。もし資本がなければ、何かアイデアを絞り出すしかない。狩野さんは、GLAUBELLとして独立するまでの2年間、パートナーとアイデアを出し合い、試行錯誤しながら仕事をしてきた。
 独立後は、グラウベルコーヒーのコンセプトである、よい素材の調達、適切な焙煎を実行するとともに、おいしい入れ方のコツをレクチャーするなど、コーヒーの楽しみ方を、たくさんの人に伝えている。コーヒー豆は嗜好品であり、生鮮食品であるから、手をかけて作らねばならない。狩野さんは、そのコーヒー豆にスポットを当て、仕事に臨んでいる。
 狩野さんは最後に、生産者にも消費者にも、全ての人にプラスにあるような努力をしなければならない、また、常にクリエイティブであり続けなければならない、と仕事への思いを述べた。クリエイティブである、とは難しいことだが、チャレンジしてこそ、道が拓けてくるのだ。



2.問題提起及びコメント等

 自分の好きなことを仕事にする、ということは、働く人全てが抱く理想であろう。しかし、組織に属せず、独立して仕事をしようとする場合、「資本」という壁を乗り越えなくてはならない。狩野さんは、それを自身のアイデアによって乗り越えた。自宅の駐車場を使ってカフェを開いたり、夜のお店の昼間を借りて営業したり、試行錯誤しながらも、自分の夢の実現へ向かって着実に進んでいた。これは、とても見習いたい姿勢である。自分の夢ややりたいことを、イメージするのは簡単だが、それを実行に移すには、相当の努力を必要とする。

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