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1.講義内容の要約
本講義は中部国際空港の開港までの経緯、そして今後の(国際)空港のあるべき姿を説いたものであった。
中部国際空港(通称:セントレア)は今年2月17日に開港を迎えたばかりの非常に新しい空港である。そもそも東海地域に国際空港をつくろうという構想は、今から約40年ほど前の1966年に誕生した。段階を踏んでいくに連れて、@具体的な立地場所、A地盤の強度、B工事費、C騒音公害への配慮等の課題を詰めていかなければならなくなった。
まず立地についてであるが、陸上13箇所、海上5箇所の計18箇所が検討対象地区となり、その中から伊勢湾東部が選ばれた。この地区は関西国際空港とは違い、水深が浅いことと地盤が粘土層であるため地盤沈下の恐れがない岩盤であり、ほんの一部を除いて改良の必要がないことが大きな決定要因となった。この好立地が工事費の削減や騒音公害の軽減に大きく影響を与えた。
この空港の目指す代表的なものとして、経済性・利便性、環境負荷の低減がある。そのためターミナルビルはコンパクトな設計をし、ビル内の移動距離をできるだけ短くするように心がけた。また経営上大変重要なビル内の商業施設は、国内の空港としては最大規模のものとなっている。航空機への動力・燃料供給の効率化、海流に配慮した空港島の位置・形状、海洋生物にやさしい護岸の形成など、空港運営に伴う環境負荷を軽減する努力をおこなっている。
これからの(国際)空港は世界との架け橋となるのは勿論、環境や周辺地域への配慮につとめ、豊かな地域社会づくりに貢献する存在になるべきである。
2.コメント
本講義の中で私が一番共感したのは、環境や地域社会づくりへの取り組みである。環境への取り組みとしては、空港島として伊勢湾の一部を利用するため、そこを住処とする海洋生物や水鳥の成育の妨げになるのではないかと懸念された。そこで島の護岸を自然石を用いて開発したり、海藻を移植したりと海洋生物が集まりやすい環境を整えた。
次に地域社会づくりについてであるが、これが一番大切なことではないかと思う。地域に根付いた会社づくり、そして企業から周辺地域への還元。地域が企業を良いものに、企業が地域の発展に貢献する。そういった企業と地域の密な双方向コミュニケーションが、これから更に必要になっていくと思う。そういった意味でも、この中部国際空港は真に新しい空港として地域づくり、ひいては国づくりをおこなっていって欲しいと強く感じる。
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