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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2023/03/17 現在

科目名/Subject 経済法
担当教員(所属)/Instructor 姜 連甲 (商学部)
授業科目区分/Category 昼間コース 学科別専門科目
開講学期/Semester 2017年度/Academic Year  前期/Spring Semester
開講曜限/Class period 水/Wed 3 , 金/Fri 3
対象所属/Eligible Faculty 商学部/Faculty of Commerce
配当年次/Years 3年 , 4年
単位数/Credits 4
研究室番号/Office
オフィスアワー/Office hours
更新日/Date of renewal 2017/02/16
授業の目的・方法
/Course Objectives and method
「経済法」と呼ばれる法分野は、経済活動を規律する法規の総称である。その中心的な位置を占めるのは、経済憲法とも呼ばれる「独占禁止法(正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)」である。
 近年、市場における「競争」の重要性が強く意識され、カルテル・入札談合など企業の独占禁止法違反事件に関する報道をよく目にするようになっている。また、独占禁止法は企業間取引のみに関わる法律ではなく、われわれの日常生活とも関係のある法律でもある。複数回にわたる独占禁止法改正により、独占禁止法の規制が強化され、その内容及び運用に対する関心も高まりつつある。
 他方で、視野を更に広げると、同じ東アジアに位置しながらも中国や台湾の独占禁止法は、構成や運用において日本と大きく異なる点があることから、同法はそれぞれの国々の国情や政府方針を色濃く反映する法律でもあるという特徴が見えてくる。
 本講義は、体系的授業構成や事例の勉強を通じて日本の経済法(独占禁止法)の基本的な枠組みと考え方を身に付けることを基本としつつ、東アジア他国との比較を通じて独占禁止法は国家の経済政策を反映した法であることを伝えたい。
独占禁止法は、経済活動をあまねく規律する法律であるため、一般的・抽象的な条文で成り立っている。そこで条文の意義や運用の実態を知るには、裁判所の判決や公正取引委員会の審決を検討しなければならない。また、公正取引委員会は実務における運用ルールを明らかにするために、特定の分野に対する同法の運用指針(ガイドライン)を数多く公表しているので、これらを読み解くことも必要になる。
本講義の総論では、まず日本の独占禁止法の由来や沿革から同法の歴史を学び、次いで同法の理解に欠かせない全体の構成や基本概念等を学ぶ。その後の各論では、規制類型ごとに具体的な法運用を検討する。基本的に教材や配布資料に沿って講義を進める。
また、本講義の終盤段階で中国と台湾の独占禁止法の体系や特徴について学び、日本の独占禁止法との共通点・相違点の比較を通じて、独占禁止法に対する理解を深める。
達成目標
/Course Goals
(1)独占禁止法を中心とする経済法の体系、基礎的概念及び考え方を習得すること。
(2)独占禁止法の判決・審決における主な論点と議論を、関連する資料を読んで的確に把握することを通じて、新たな事例問題を分析検討する能力を習得する。
(3)東アジア各国の独占禁止法の共通点と相違点の勉強を通じ、異なる文化を理解し、国際的視野に立って日本の法律を見る能力を習得する。
授業内容
/Course contents
【導入と総論】
第1回 独占禁止法の規制体系と基本概念 
【各論】
第2回 私的独占の禁止(1)(基本概念と違法要件の解説)
第3回 私的独占の禁止(2)(排除行為と事例)
第4回 私的独占の禁止(3)(支配行為と事例)
第5回 私的独占の禁止(4)(排除措置命令、課徴金と事例)
第6回 補充と小括
第7回 カルテルの規制(1)(基本概念と違法要件の解説)
第8回 カルテルの規制(2)(価格・数量・販路・市場分割カルテルと事例)
第9回 カルテルの規制(3)(入札談合と事例)
第10回 カルテルの規制(4)(行政指導、官製談合と事例)
第11回 カルテルの規制(5)(排除措置命令、課徴金と事例)
第12回 補充と小括
第13回 不公正な取引方法の規制(1)(基本概念と違法要件の解説)
第14回 不公正な取引方法の規制(2)(行為類型と事例)
第15回 不公正な取引方法の規制(3)(行為類型と事例)
第16回 不公正な取引方法の規制(4)(行為類型と事例)
第17回 不公正な取引方法の規制(5)(行為類型と事例)
第18回 不公正な取引方法の規制(6)(行為類型と事例)
第19回 不公正な取引方法の規制(7)(排除措置命令と課徴金)
第20回 事業者団体の行動規制 
第21回 結合・集中の規制(1)(市場集中規制における競争制限効果の判断)
第22回 結合・集中の規制(2)(市場集中をもたらす結合の形態)
第23回 結合・集中の規制(3)(一般集中規制)
第24回 結合・集中の規制(4)(独占的状態の規制)
第25回 知的財産権と独占禁止法 
第26回 政府規制と独占禁止法
第27回 景品表示法等 
【比較法】
第28回 中国の反壟断法
第29回 台湾の公平交易法
【総括】
第30回 全体のまとめ
使用教材
/Teaching materials
教科書: 岸井大太郎、大槻文俊、和田健夫、川島富士雄、向田直範、稗貫俊文/著『経済法― 独占禁止法と競争政策[第8版]』(2016)。

参考書:舟田正之、金井貴嗣、泉水文雄/編『経済法判例・審決百選』別冊ジュリスト判例百選199号(2010)。

その他:外国法に関する資料は配布する。

成績評価の方法
/Grading
成績評価は、小論文式の期末試験(満点90点)+出席率や学習態度(満点10点)の合計点数で評価する。合格点は60点とする。良い点数を獲得するには、討論への積極的な参加等、普段の努力も大切である。
成績評価の基準
/Grading Criteria
秀(100~90):経済法についての秀でた理解力を有し、条文を応用して様々な事例について秀でた分析をすることができる。また、高い出席率が要求される。
 優(89~80):経済法についての優れた理解力を有し、条文を応用して様々な事例について優れた分析をすることができる。
良(79~70):経済法についての良い理解力を有し、条文を応用して様々な事例について良い分析をすることができる。
可(69~60):経済法についての理解力を有し、事例についても、条文に基づき基本的な分析をすることができる。
不可(59~0):経済法についての十分な理解力を持たず、基本的事例も分析することができない。

履修上の注意事項
/Remarks
(1)受講の際には、教材だけでなく、六法も持参すること。ただし、用意できない場合は、独占禁止法の条文コピーでも良い。
(2)期末試験では、六法の持ち込みは認める。
(3)講義中の遅刻や私語は学習態度の評価に良くない影響を及ぼすため、各自に注意すること。また、講義中、討論への積極的な参加は良い成績評価に繋がる。
リンク先ホームページアドレス
/URL of syllabus or other information
公正取引委員会:http://www.jftc.go.jp/
遠隔授業
/Online class
遠隔授業/Online class

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