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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2023/03/17 現在

科目名/Subject 比較文化IV/Comparative Studies of CultureⅣ
担当教員(所属)/Instructor 佐々木 香織 (商学部)
授業科目区分/Category 昼間コース 学科別専門科目
開講学期/Semester 2016年度/Academic Year  後期/Fall Semester
開講曜限/Class period 水/Wed 3
対象所属/Eligible Faculty 商学部/Faculty of Commerce
配当年次/Years 2年 , 3年 , 4年
単位数/Credits 2
研究室番号/Office
オフィスアワー/Office hours
更新日/Date of renewal 2016/03/01
授業の目的・方法
/Course Objectives and method
この講義は以下の三点に力点を置いて展開します。

① 総合的な英語力、特にエッセイを書く力の向上 (Academic English)
② 文化を比較する上で必要な文化的価値の「相対化」ならびに、文化を表象する権力性の「認識」という思考訓練(cultural politics and the post-colonial context)。
③ 今日のグローバル化と言う文脈を鑑みて、日本社会・文化に自己アイデンティティの基盤を置く多くの学生にとって必要と思われる異なる「文化」に関する知識の習得 (anthropology and cultural studies)。

そこで、90分の授業のうち60分は英語力向上と思考訓練の場、30分は知識習得の場という二部構成をとります。


授業の第一部では、教科書を使用して、日本社会と多文化主義の観点から、比較文化を捉えます。多くの受講生が属する日本の多数派が共有する文化的な価値を「相対化」し、日本におけるエスニックマイノリティについて考察します。

第一部の講義の内容は、1.英文の内容を確認、2. 内容に関するグループ議論と発表 3.講師とクラス全体討論、です。
この三つの過程を通じて、異文化に関する多様な視点を培い、その中から「文化」に対する自分の意見や立場を模索し、英語で発信する力をつけましょう。使用言語は、英語のみです。


第二部においては宗教と歴史と文化の関係を学び、比較文化に必要な知の体系の基礎力を培います。特に1. 宗教と文化の歴史性・政治性を学び、文化と表象にまつわる権力にも目配りできる力も培い、2. 近代主義を超克した世界観・比較文化のツールを手にすることを目的とします。
ここでは講義では英語を用います。しかし、複雑な内容と難しい英語の語彙があるため、日本語の活字資料(パワーポイント)も利用し、受講者の理解と議論を促せるよう勤めます。
達成目標
/Course Goals
受講者が以下の6点の目標を達成することを念頭に、この講義は進められます。

① 社会・文化事象における政治・歴史性を英語で体感することができる。

② 日本における文化の諸問題を議論する際に必要とされる英語の語彙を、英語教材の読解や議論を通じて習得する。

③ 文化事象に対して、英語で質問や意見を述べたり、自分の理解の確認や要約が行えるようになる。

④ 自文化を相対化しながら、日本における他者存在のあり方と多文化共存について、英語で議論する力をつける。

⑤ 文化事象を比較したり、俯瞰したり、その問題性を考察したりする上で必要な教養と視野を広げられるようになる。

⑥  5.をふまえて、自分の立ち位置と文化的な権力性を自覚した上で、文化にまつわる社会・政治問題に対する発言ができるよう、心がけられるようになる。
授業内容
/Course contents
① オリエンテーション 文化、表象、そしてマイノリティ

② Lesson 1 Multi-lingual Japan(多言語社会としての日本); 国民国家の形成と言語

③ Lesson 6  Foreign Language Education in Japan(日本における外国語教育); 日本における脱亜入欧と言語教育

④ Lesson 5 Brazilian Children at a Disadvantage(苦境に立つブラジル人の子どもたち); 言語とちから1 - 文化資本、象徴権力、社会的再生産

⑤ Lesson 4 Sings Written in Multiple Languages(多言語で記された標識); 言語とちから-インドの植民地化と、言語、民族、文化政策

⑥ Lesson 11 International Schools in Kobe(神戸のインターナショナル・スクール); 言語とちから 2  - オリエンタリズムとサバルタン

⑦ Lesson 3 A British Boy Growing up in Japan(日本育ちのイギリス人少年); オリエンタリズムと白人男性

⑧ Lesson 10  Cross-cultural Marriage in Japan: Fact and Fiction(国際結婚の真実と虚構); オリエンタリズムと女性

⑨ Lesson 12 A Multilingual Radio Station(多言語で放送するラジオ局); 国民国家における伝統の再創造とオリエンタリズム

⑩ Lesson 2 The Ainu Language is Forever(アイヌ語の将来は); 国民国家と大日本帝国 -日本人とは誰か?

⑪ Lesson 15 Okinawan: An Endangered Language? (沖縄語は絶滅するのか); 世界史の中の沖縄、多民族国家としての大日本帝国-日本人とは誰か?

⑫ Lesson 8 Language Support for Foreign Residents in Yao(八尾市の外国籍住民への言語サポート); ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の基本

⑬ Nurses from Indonesia(インドネシアから来た看護師たち); 表象とイスラム‐国民国家、グローバリゼーション、そしてテロリズム

⑭  Foreign Residents and Their Children in Fukuyama(福山市の外国人と子どもたち); キリスト教原理主義と人種主義 in the USA ―モンキー裁判と黄禍論

⑮ Lesson 9  Osakorean Town(おおさかんこくタウン); 朝鮮半島と日本 -ビジネスとしての愛国、ナショナリズムとジェンダー
使用教材
/Teaching materials
Wright, Carolyn et a; (2010) 『Multicultural Japan 多文化社会日本の道しるべ』 南雲堂
成績評価の方法
/Grading
平常授業での貢献  40 %
冬休みのレポート  35%
レポート        35%
成績評価の基準
/Grading Criteria
すべての基準は、「大学生として」そのレヴェルに達しているかを判断しています。 

(秀)講義にとても積極的に参加をしている。多文化社会の課題を具体的で論旨を明確にして述べることができる。文化と宗教に付随する政治性や歴史性を非常によく理解し、異なる文化圏の影響力を明瞭に示したり、比較したりすることができる。

(優)講義に積極的に参加をしている。多文化社会の課題をわかりやすく述べたることができる。文化と宗教に付随する政治性や歴史性をよく理解し、異なる文化圏の影響力を示したり、比較したりすることができる。

(良)講義によく参加をしている。多文化社会の課題を具体的に述べることができる。文化と宗教に付随する政治性や歴史性をよく理解し、異なる文化圏の影響力をよく理解している。

(可)講義に過不足なく参加をしている。多文化社会の課題について説明することができる。文化と宗教に付随する政治性や歴史性を過不足のない程度に理解している。

(不可)講義参加意欲が低い。多文化社会の課題の理解が不十分である。文化と宗教に関する理解も不十分である。
履修上の注意事項
/Remarks
指定教材は必ず用意しましょう。

この講義は、TOEIC 400-700点の英語力の学生を対象にしています。

限られた時間内で比較文化の上級者レヴェルの内容を習得してもらいたいので、他の授業に比べて少し速めのスピードで、授業は進められることになります。自宅学習(特に予習)の有無で結果は大きく異なります。その点を、留意して受講して下さい。
備考
/Notes
教科書の予習をしてくるようにしましょう。

高等学校の「世界史」の教材が用意できると、講義の第二部が分かりやすくなるでしょう。
遠隔授業
/Online class
遠隔授業/Online class

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