第5章 企業会計原則


一般に認められた会計原則
Generally Accepted Accounting Principles: GAAP


They(financial statements) reflect a combination of recorded facts, accounting conventions and personal judgements; and judgements and conventions applied affect them materially.

American Institute of Accountants,Examination of Financial Statements by Independent Public Accountants, 1936.


企業会計原則の役割

 財務会計が提供する情報は、個人を含めた社会の様々な経済主体に大きな影響を与える。財務会計は経済社会のインフラ(infra-structure)となっている。したがって、財務会計情報は、なによりもまず信頼のおけるものでなければならない。また、他社との比較や時系列での比較ができるように、ある程度、形式や内容に統一性がなければならない。

 財務会計情報が信頼性を持つためには、企業会計原則という社会で一般に認められた原則や基準に準拠して作成されなければならない。また原則や基準に準拠して作成したことを第3者が保証する監査が必要になる。

 従来、会計には、すべての会計実務の中に共通して存在し、また首尾一貫した論理性をもつ原則(Principles)が存在しており、それを明らかにすることが会計原則を設定することだと考えられてきた。しかし、会計原則は、社会の合意によって形成される人為的な制度であり、場合によっては経済政策や政治に左右されることもある、基準であるという理解が一般的となっている。したがって、会計基準(Accounting Standards)という用語が一般的となっている。

 わが国の「企業会計原則」(1949年制定、最終改正1982年)は、企業会計原則の役割として下記の3つを挙げている。

  1. 企業が財務諸表を作成するさいの基準
  2. 監査人が財務諸表を監査するさいの基準
  3. 企業会計に関する法令が制定改廃されるさいに尊重されなければならない 基準

 この「企業会計原則」は、現在も基本的原則としての機能を持っているが、その後、わが国の経済が急速にグローバル化したため、全面的に改正されず、課題別の個別基準が数多く設定されてきた。会計ビッグバンも個別基準の制定によって会計制度を変革しようとしている。現行の「企業会計原則」は、将来全面改正されるのだろうか。興味深いところである。