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平成29年度入学式 学長式辞 お知らせ

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商学部、大学院の新入生のみなさん、みなさんは、今日から、小樽商科大学の構成員になられました。心より歓迎し、お祝いを申し上げます。本日のこの式にご臨席を賜りましたご家族のみなさま、ご来賓の方々にも篤く御礼申し上げます。

 

新入生諸君に、ここで、これから学ぶ小樽商科大学について、いろんなことをお伝えしたい、誇りをもってこれから学んで頂きたいと強く願うものであります。

 

今から百数年前、本学の前身である小樽高等商業学校の初代校長渡辺龍聖は、入学式のなかで、新入生を前に、「これからは諸君を紳士として遇する」と言いました。「紳士」とは、男女を問わず、自立した個人として自由と責任のもとに行動し、学ぶ人のことであります。これは今でも本学の教育の精神です。百数年前に渡辺校長が示した方針のもとで、本学は、戦前は北海道では唯一の文科系高等教育機関として、戦後は商学を中心とした社会科学系の単科大学として「実学」、「語学」「品格」をモットーとする教育を展開し、北海道のみならず全国に、社会を支えあるいは社会のリーダーとなる人材を送り出してきました。

 

今述べた「実学」、「語学」「品格」とは次のような意味であります。まず、「実学」とは、仕事にすぐ役に立つ知識・技能を教えるという意味ではありません。みずからの専門に加えて、それを支える幅広い関連分野の知識を修得させるとともに、それらの知識を用いて現実の問題に取り組む能力・意欲を育てることにあります。小樽商科大学は、商学部のみの単科大学であります。しかしながら、みなさんが学ぶ商学は、ビジネスや経営学やマーケティングだけではありません。わたしたちは、「商学」を、複雑な現代社会を理解し解決を導くための、さまざまな学問分野を融合させた総合的・実践的社会科学ととらえています。本学の「実学」教育はそのような考えの上に立っているのです。

 

本学はまた、「国際感覚を備えた品格ある人材」の養成も目指してきました。それを支えるのが、「語学」であります。本学は社会科学系の大学では珍しい多言語主義と言語コミュニケーションを重視した実践的な語学教育を行ってきました。

 

そして、「品格」は、本学の教育の根底をなす理念です。「紳士・淑女であれ」という渡辺校長のことばに象徴されています。伝統的に教養教育を重んじてきたこともその表れであります。しかしながら、「品格」は、必ずしも講義のなかで教えられるものではありません。それは、むしろ、人間どうしの交流、切磋琢磨のなかで自ら身につけるべきものです。そのため、本学は、開学以来、教職員どうし、教職員と学生の自由な交流、同窓会と在学生のつながりを大切にし実践してきた大学であります。たとえばこんなことがありました。

 

前身の小樽高等商業学校ができてから25年たった時に、学生新聞(緑丘新聞)のなかで、一学生が、母校のことを、「北に一星あり。小なれどもその輝光強し」と称えました。何と誇りに満ちたことばでしょうか。私たちは、その後、学生が言い出したこのことばを、大学の標語としてつかっています。

 

第2代学長加茂儀一先生(昭和32年頃)は、本学が始めて学外から迎えた学長でありました。このとき大学では加茂先生を学長に迎えることは決定していましたが、実現までに大変難航いたしました。学生たちは大会を開いて加茂先生の学長就任を支持し、みずからカンパして資金を集め、東京に代表団3名を送り出しました。学生たちは、加茂先生の自宅の前で筵旗を立てて座り込みをしたと言われています。加茂先生を学長就任に動かしたのはこの学生の熱意でした。加茂先生が小樽に着任したとき、学生らは小樽駅に先生を出迎え、歓迎ストームを行いました。加茂先生は、後年、「このことを一生忘れないだろう」と述べています。世の中にこんな大学があるでしょうか。加茂学長は、学長就任演説のなかで「学園の発展を目指し、学生とともに歩まん」と語りかけ、後に「商大ルネサンス」と呼ばれる大学発展の基礎を築いたのです。

 

私にはさらに忘れられないことがあります。本学は、冒頭で述べたように、旧制の小樽高等商業学校が、戦後そのまま新制大学・小樽商科大学になってできたものです。その当時、全国にあった高等商業学校は、帝国大学に併合されたり、他の高等教育機関と一緒になったりして総合大学の経済学部に変わりました。本学も北海道大学の経済学部にするという政府の方針がありましたが、教員や地元の人々は単独で大学になることを強く望みました。当時の大野純一校長(初代学長)は、政府に対して、「本学は、創立以来学生を紳士として扱い、学生と教官の間、卒業生と地元の間にも密接なつながりがあり、常に一体となって助け合っている。こうしたところでこそ、人と人との接触による真の教育が可能である。」と述べて、単独での大学昇格の必要性を訴え、これが政府(当時はGHQ)に求められたのです。

 

さて、現在のこと、将来のことですが、小樽商科大学は、これまでの教育研究成果を集大成し、昨年度から、新しいビジョン「グローカル人材の育成」のもとで再スタートを切りました。「グローカル人材」とは、グローバル(地球規模)の視野のもとに、自分の置かれているローカル(地域や国)の視点からものを考え行動する人材のことであり、そのような人材を、経営・マネジメントの教育の分野で育てることにあります。そのために「グローカル・マネジメント副専攻プログラム」を始めとする副専攻をスタートさせました。そこでは、様々な実学的手法を用いた講義やインターンシップ、英語による授業、入学直後の留学制度を設けて皆さんをお迎えしています。本学は、また、学生諸君の経済面での支援が充実している大学でもあります。授業料免除の拡大、返還の必要のない海外留学奨励金制度の充実をはかり、新たに給付型奨学金のための就学支援基金を創設しました。

 

みなさんが、これから迎える社会は、大きな変化を遂げようとしています。18才人口が段々減少する一方でIT技術が発達し、あらゆる情報がネットで繋がれ、ビッグデータをもとに人工知能が結果を予測するという、(蒸気機関、電気、コンピューターに次ぐ)第四次産業革命が到来するといわれています。長時間働き続けてモノを作れば経済が成長するという考えはもはや通用しません。将来産業構造、職業そのもののありかた、人々の生活が一変するかもしれません。そこで、問われるのは、新しい知識、理論、そして創造力です。

 

大学での4年の生活は、みなさんの長い人生のなかでは、僅かな期間にすぎません。しかし、それは、将来に大きな影響を与える、重要で豊かな時間です。大学での学問・学びは、これまでのような単なる知識・技能の詰め込みや受験のためではなく、自分自身の成長と仕事につながるものです。大学での学びにおいては、苦労を厭ってはなりません。たとえ興味の沸かないこと、苦手なこと、自分自身に直接役立たないと思われることであっても、決してあきらめずに取り組んでください。

 

大学院で学ぶみなさん(そのなかには専門職大学院で学ぶ社会人の方々もおられます)、これから取り組む研究、修得するであろう高度職業人としての能力が、複雑で流動的な現代社会を生き抜くためのあらたな地平を開き、更なる発展に結びつくことを期待しています。そのために本学が貢献できればこの上ない喜びであります。

 

もう一つ、毎年入学式でお伝えしていることがあります。この会場・体育館の玄関横に小さな碑が建っています。今から5年前の5月に、本学のグラウンドで運動クラブの学生が飲酒で死亡する事故が起こりました。この学生は、入学したばかりのみなさんと同じ大学1年生でした。私たちは、亡くなった方に衷心より哀悼の念を捧げるとともに、二度とこのようなことが起こらないように生命・安全を守ることを誓いました。これはその「誓いの碑」です。未成年の飲酒は法律で禁止されています。また、飲酒は、場合によっては大変危険をともなう行為です。みなさんとくに大学1年生の諸君においては、大学の指導を守り、健康と安全に注意して大学生活を送ってもらいたいと思います。

 

最後に、私も、加茂学長のように、みなさんとともに「小さいけれども輝いている」、smallest but brightest、そういう大学を作っていきたい。ですから、小樽商大がみなさんのために何をしてくれるかということだけでなく、みなさんが小樽商大のために何ができるかという気持ちで大学生活を送ってくださるようにお願いします。

 

 みなさんのこれからの大学・大学院での生活が稔り豊かなものになることを祈っています。

 

                      平成29年4月4日

                        国立大学法人小樽商科大学長 和田健夫

    

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