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カール・マルクス 「資本論」 第1巻 ドイツ語版 初版 1867年
Karl Marx, Das Kapital. Bd.1, 1867

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表紙〜119頁
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120〜249頁
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250〜379頁
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380〜521頁
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522〜663頁
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664〜裏表紙
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 マルクスと資本論について

 カール・マルクス(Karl Marx, 1818-1883)は、ドイツの経済学者・哲学者で、革命指導者である。その思想のためにヨーロッパ各地での亡命生活を余儀なくされた。

 マルクスは、「資本論」(第一巻1867年)で、古典派経済学を批判的に摂取しながら、資本主義経済の内的構造を、余剰価値と資本の再生産という観点から、体系的に論述した。この著作によって、彼は資本主義が歴史のひとつの過渡的な過程でしかないことを論証し、科学的社会主義を確立したといわれる。

 資本論ドイツ語版初版について

 小樽商科大学の附属図書館には、アダム・スミスの「国富論」、マルサス「人口論」などに並ぶ歴史的名著として、カール・マルクスの「資本論」第一巻ドイツ語版初版が所蔵されている。これは、ドイツのハンブルグのマイスナー書店から1867年に出版された。「資本論」のドイツ語版初版そのものは、1000部発行され、世界に百冊ぐらいは現存しているであろう。商大所蔵のものは、リーナ・シェーラーなる女性に献呈された、著者マルクス本人の「わが友リーナ・シェーラーへ ロンドン 1867年9月18日」という献辞入りの、珍しいものである。カロリーネ・シェーラーは、ドイツ人で、マルクス家族の友人だった。マルクス夫人の弟と婚約していたことがあるが、破談になっている。主にイギリスで家庭教師をして働いていた。ロンドンに亡命中のマルクスから、発行されて数日後に贈呈されたのである。

マルクスの自署献辞(画像)
マルクスの自署献辞。標題紙の裏に書き込まれている。

 献辞入り本は、世界で二十冊ある。だが商大所蔵のものは、製本されていない仮とじのペーパー・バックである。出版された当時のままであり、これが珍しいのである。「資本論」は、まず仮とじの体裁で発行され、読者は入手後、それを業者に頼むか、自力で製本した。まったく手が加えられていない初版本は国内では、ほかに二冊しか確認されていない。この商大図書館所蔵の「資本論」は、マルクス自署献辞入りで、なおかつ、出版当時の姿を残す、完全な形の初版本である。

 このドイツ語版初版は、小樽高商教授を経て、小樽商大初代学長にもなった、故大野純一氏が所蔵、1983年に附属図書館に遺贈された。大野教授は、これをドイツ留学中の1930年、ベルリンの大手古本屋ヘラーズベルグから買った。購入価格はおそらく、500マルク余。当時の日本円にして250円余であり、教授の一ヵ月半くらいの月給をはたいて購入したらしい。購入時はヨーロッパの書物によく見られるように袋とじのままであり、教授がペーパー・ナイフを入れた。大野教授は、「資本論」を持っていることをあまり人に言わなかった。1930年代半ばから45年まで、日本では「資本論」は厳禁の書だったから、だれにも言えなかったことは無理もないが、戦後もあまり吹聴しなかった。商大に遺贈された頃から、ようやく存在が知られるようになった。

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