プロダクトアウトからマーケットイン、そして共創によるものづくりへ

「良い機能なのに使われない」「いいアイデアと思ったのに売れなかった」「一生懸命開発したけども、使いやすいのか自信がない」等々。ものづくり、サービス・制度設計の現場で、こういった課題に直面することは少なくありません。


これらは、ものづくりの過程の中で、実際のユーザーや顧客からの確証がないままに推し進められたために起こることがほとんどです。そのため、近年では、顧客の要求を聞くことを大切にするものづくりへ関心が高まり、マーケティング活動の導入が盛んに行われるようになってきました。


一方、情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology )の発展は著しく、利用者がこれまで、目にしたことのないような新しい製品が開発されるようになりました。従来のマーケティング活動では、このような製品開発を適切に支援することができません。そのため、開発者側がしっかりとしたイニシアティブをとり、想定される利用者と共に、開発を進めることが求められるようになってきました。


このような開発アプローチは「人間中心設計 (HCD: Human Centered Design)」と呼ばれるもので、欧米の企業、行政機関では、既に、定着しつつあります。ユーザー参加型のアプローチのために、『共創』型とも呼ばれます。


小樽商科大学ビジネス創造センターでは、この「人間中心設計」に関わる研究開発を推進するために、文部科学省の支援のもと、2007年度にユーザーエクスペリエンス研究部門を設置しました。この分野での研究部門の設置は、国内で初めての事例です。また、この研究活動を支える研究設備として、ユーザビリティ・ラボを併設しているのも、本研究部門の特徴です。